演劇製作部長インタビュー

入社のきっかけは?
単純にお芝居が好きだったからです。私は、昭和62年に入社させて頂きましたが、その当時はお芝居に携わりながら生活できるような会社がほとんどありませんでした。もちろん演劇関連で言えば、テレビ局もありましたが、私は「舞台」にこだわって仕事がしたかったんですね。他の業界だと、広告代理店も受けました。演劇の様な「生の芸術」を扱う仕事をするとしたら、当時だったら広告代理店がやっているイベントなどがそれに近いと感じていました。心から希望していた松竹に入社することができて運が良かったです。本当に幸せでした。
仕事の面白さや一番の魅力は?
世の中が日々「動いている」ことを実感できることですね。映画は、一度作ってしまえば作品は動かないものですが、演劇は、毎日状況が動くんです。俳優の演技だけでなく、スタッフの想いも日々変化しますし、一度決まってもそれが永遠に続くわけではなく、毎日毎日違う状況になり、違うトラブルが生まれ、色々な情報が入ってきて、状況がどんどん変化していく。そこから自分という存在は動いているな、成長しているな、止まっていないな、と実感できて面白いですね。
どのように自分を成長させてきましたか?
その年々にしかできないことを全力で楽しんできました。 20代は、失敗が許される時期であり、思い切った行動ができましたし、30代はだんだん社会が分かってきて後輩もでき、とにかく物事の流れを考えました。そして40代では責任が生まれ、多くの事を任されるよろこびはありますが、同時に失敗は許されない緊張感があります。今じゃないと味わえない時間の存在を最大限に活用してきたつもりです。年代それぞれの楽しみ方、40代なら40代、30代なら30代、20代なら20代の青春があるような感じで楽しく働いてきました。
松竹社員に共通する強みは何だと思いますか?
私の所属する歌舞伎製作室のメンバーに共通することで言えば、逆境に強い事と、自分で色々な判断が、その場その場でできることですね。
プロデューサーという仕事は時に誰も助けてくれない一人きりの状態になりますので、トラブルが起きたときに瞬時に個人で判断し、解決しなければならない時が沢山あります。何があっても、どんな壁があっても前へ進もうとする強い意志がないとつとまらないし、それは、頼もしい人たちばかりです。動かない物ではなくて生きている人間のために、生きている人間と向き合う仕事だから毎日予想できない物語がありますね。
現場の視点でこの人がほしい、若手にこうなってほしいという点は?
感謝できる人。この一言に尽きます。
様々な状況におかれたとき、その状況に感謝できる人と一緒に仕事をしたいですね。
今やっている仕事は、先輩や前の世代の人がやって頂いた結果のおかげであり、それを自分が受け継ぎ、高められることはすごいことだと思います。そのことは他社と一番違うところであると思います。先人の皆さんのお陰で、今自分がここに居られる、やりたいことができる、そういう感謝の気持ちを持てることがまず大切だと思います。
仕事はひとりでやっているものではないので、同僚や上司だけでなく、あるいは昔会社を創業なされた人たちから、そしてその伝統を守ってこられた人たち、今自分がしている仕事を創って頂いた人にまで視野を広げて感謝する気持ちを持ってほしいです。
私も、壁にぶち当たると昔の人はどうしていたんだろう?と資料を読み返し、振り返ります。先人の知恵にかなわないことがほとんどです。
現在の仕事に対する想いと今後の展望は?
一人の歌舞伎俳優の価値を高めるのも落としてしまうのも私たちの責任であり、歌舞伎というブランド力を上げるのも、落とすのも私たち次第だと思います。会社としての収益を考えながらも、いかに芸術性を追求し、そして歌舞伎の興行を、数ある日本の伝統芸能の中で確立させていけるか。そしてお客様のニーズに即したものを提供することを考えながら芸術性の高い舞台をつくるということに私たちが存在する意味があると思います。今後も伝統を築いてきた方たちの思いを汚さぬよう、その引き継いだDNAをさらに良い物にして後世にも伝えられれば、こんな幸せなことはありません。
学生の皆さんに伝えたいメッセージは?
世の中の人たちが幸せな気持ちになって頂くために仕事をさせてもらっている会社という位置付けは、すごいことですし、ただ単に利益を出すためだけに会社が存在していないところが松竹の一番の魅力だと思います。
皆さんを喜ばせる仕事ってとても素晴らしいですし、世の中のために何かしたい、先人に感謝の気持ちを表したいと思う人と出会いたいです。
