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作品紹介

花柳十種

遊女夕霧遊女夕霧

川口松太郎の小説「人情馬鹿物語」の第三話で、昭和29年4月明治座で初演。大正10年頃の吉原のお女郎と深川森下町の講釈師の心の通い合いの物語。

花柳の役=夕霧

あらすじ

酉の市の晩、夕霧は惚れた客に裏切られて狂乱していた朋輩の小紫を自分の座敷に連れてくる。泣き続ける小紫に、夕霧は、男を騙すのが商売と言われる遊女が男にだまされて泣くのなら恥ずかしいことではないと優しくいうのだった。夕霧の馴染客、呉服屋の番頭与之助も姿を現して一緒に慰めると、小紫も心の平静を取り戻した。そこへ与之助の名代でお酉さま詣でをして来た幇間や芸者達が戻ってくる。今日は与之助が夕霧へ積夜具をしたお祝いで、座敷は賑やかになる。しかしいざ二人っきりになった時与之助が帰り支度を始めた。見栄を張った無理が重なり、与之助は店の金に手をつけていたのだ。夕霧は愕然としてただ立ち尽くすばかりであった。
人情噺を得意とした芸人だったが、引退して講談速記をしている悟道軒円玉のところを夕霧が訪ねて来る。夕霧に注ぎ込む費用を生み出すため、17件の得意先から反物の前金としてお金をだまし取った与之助だったが、被害者全員から借用したことにしてもらえれば起訴猶予にしてやろうと検事に言われ、与之助に代わって一軒一軒頭を下げて廻っているのだった。一度は激怒するも人一倍人情の機微に通じている円玉は、借用証明書に判を押してやり、円玉の女房お峯も夕霧に茶代わりに酒を出してやる。夫婦の温かい心にほだされた夕霧は、遊女上がりが女房になっては出世の妨げとなるから、与之助が出所しても一緒にはならぬつもりだと語り、泣きだした。遊女の身でも惚れた男に尽くしきる夕霧の真心に、円玉夫婦は貰い泣きするのだった。

花柳十種
歌行燈
鶴亀
大つごもり
あじさい
夢の女
鶴八鶴次郎
「遊女夕霧」
佃の渡し
京舞

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