すべての物事を疑い、
映画の可能性に挑みつづける。

  • 映像本部 映画宣伝部 宣伝企画室
  • 永江 智大Tomohiro Nagae
  • 2010年入社 文芸学部卒
どんな学生生活だったか
二十歳のとき、それまでつづけていた陸上競技から一転して映画研究部へ。元々何かをつくることが好きだった私は、ゼミで映画を学んだことをきっかけに、自ら製作してみたい衝動を抑えきれず、思いきり飛び込んでみました。それからというもの、狂ったように映画を観ては、次々に映像を製作する毎日。映画祭や大学イベントの映像製作から、映像プロダクションでのアルバイト、プロの映画撮影現場での仕事まで、映像の世界にのめり込んでいました。
松竹を選んだのはなぜか
映画を製作したいという想いを持ちつつ、その気持ちはやがて「たくさんの人に作品を観てもらいたい」という欲求に変わっていきました。100人、1000人規模よりも、何万人、何億人という観客に向けて作品を届けたい。そんな想いを強く持っていましたから、メジャー系の映画会社を中心に就活しました。そのなかでも、松竹は邦画メジャーでありながら「モノづくりへのこだわり」を大切にする数少ない会社であり、いい映画づくりを学べるはずだという直感を信じて入社を決めました。
これまでのキャリア
  • 2010年
    映像製作部 映画製作室

    アシスタントプロデューサーとして、映画の企画立案や製作業務に従事。映画づくりの全体像を学ぶ。VIPO若手映像作家育成プロジェクト「おとこのこ」(2011年 松永大司監督)などのプロジェクトに携わる。

  • 2011年
    映像本部付 松竹撮影所 出向

    製作進行として、ロケ地探しや製作管理、撮影を円滑に進行するためのサポートなどの業務に従事。映画「おかえり、はやぶさ」(2012年 本木克英監督)、「ひまわりと子犬の7日間」(2013年 平松恵美子監督)、「東京家族」(2013年 山田洋次監督)などのプロジェクトに携わる。

  • 2012年
    映像企画部 映画企画室

    プロデューサーとして、企画立案から脚本開発、監督決定やキャスティング、撮影現場の管理や仕上がりまでのプロジェクト全体の業務に従事。「ジャッジ!」(2014年 永井聡監督)、「日々ロック」(2014年 入江悠監督)、「母と暮せば」(2015年 山田洋次監督)、「東京喰種 トーキョーグール」(2017年 萩原健太郎監督)、「東京喰種【S】」(2019年 川崎拓也・平牧和彦監督)、「一度死んでみた」(2020年 浜崎慎治監督)などのプロジェクトに携わる。

  • 2020年〜現在
    映画宣伝部 宣伝企画室

    「滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie」(2020年)、「鳩の撃退法」(2021年)、「大怪獣のあとしまつ」(2022年公開予定)などのプロジェクトに携わる。

現在の業務内容
宣伝プロデューサーとして、映画をより多くのお客様に届けるという仕事をしています。まだまだ勉強中ではありますが、企画や製作業務で培った経験を活かして、「どうすれば映画に興味を持ってもらえるか?劇場に足を運んでもらえるか?」ということを日々考えています。世の中はものすごい速さで変化しています。エンタメも例外ではなく、多様なコンテンツで溢れている中で、コマーシャルの大量投下や、良い映画だからという想いだけでは通用しない世界になっています。世のニーズと向き合いながら、アイデアひとつで振り向いてもらえるようなクリエイティブやプランニングを目指しています。
大切にしているこだわり
自分がおもしろいと思えるかどうかが大切です。お客様にエンターテインメントを届ける以上、自分がおもしろいと思えないものを世に出すことはできない。どんな映画にも作り手の想いが込められるべきであり、それがあってはじめて映画に命が宿ると考えています。これは映画製作だけでなく、すべての仕事に共通していることだと思っています。
入社後、
印象に残っている仕事

プロデューサーとしてのデビュー作「東京喰種 トーキョーグール」が印象深い。特に、監督やスタッフみんなで取り組んだ“0を1にする作業”が本当に大変で…。「グール」とは架空の存在。そんな彼らが「もしもこの世に存在したらどうなのか」ということを映画のテーマに設定し、議論を重ねました。日本に何人いるのか?見た人は何人いるのか?赫子(カグネ)と呼ばれる器官は触ると熱いのか?大の大人たちがそんなことを真剣に議論。いつしか実際にグールがいるような錯覚すら覚える日々がつづきました。このときのことを思い出すと、いまだに興奮してしまいます。また、アメリカ・ロサンゼルスでワールドプレミアを行ったときのこと。世界中の方々が私たちの映画を観て歓声をあげ、喜んでくれたことがとても感動的で…。国境を越えて世界の人々とコミュニケーションをとれるということは、映画ならではの大きな魅力だと感じました。

※「実写版『東京喰種』の“赫子”はここからヒントを得た!」の記事へ(シネマトゥデイ)

松竹ってどんな会社か
伝統を大切にしながら、革新していく会社
伝統を大切にしながら、
革新していく会社
松竹のDNAを一言で
温故知新
松竹人ってどんなカラーか
映画や演劇などエンターテインメントへの愛がある人
自分たちのエンターテインメントを世の中に届けるという強いマインドを持つ人
松竹で学んだこと・
受け継いだこと
「すべての物事を疑ってみなさい」
これは山田洋次監督にいただいた言葉です。仕事でも日常でも、当たり前だと思って通り過ぎてしまうことは多いと思いますが、そうした一つひとつの物事に目を向けることで、思わぬ発見につながったりするのです。常識にとらわれない発想の体質化、みたいなことですかね。私はこの言葉を胸に刻んで生きるようになりました。
松竹で成し遂げたいこと
より多くの人々に見てもらえる映画をつくること。私の場合、これに尽きると思います。更には、私たちの映画に触れていただける、観ていただける機会や場所を広げていくことにも挑んでいきたいと思っています。
自分の仕事が
文化になるという感覚
誰かの人生に何かしらプラスαを与えることができた瞬間、それに近い感覚を覚えます。自分がつくったものを観たお客様が泣いたり笑ったり…。感想を話し合ったりするシーンを見聞きすると、自分の仕事の影響力の大きさを強く感じるとともに、最高にやりがいを感じます。だからこそ、世の中に「おもしろいものを届けたい」という気持ちは常に持っています。
いつか
こんな文化を生み出したい
映画はもっと自由であっていい。映画の可能性を広げてみたい。例えば、観客参加型の新しい映画をつくってみたい。近年、VRやARをはじめとした映像体験技術も広がりを見せていますが、映画はもっと自由であっていい。例えば、長方形のスクリーンなんて誰が決めたのでしょうか。丸とか楕円とか…。もっと柔軟な発想があってもいいと思います。あるいは、作り手の意図の裏に隠されたメッセージを観客が自由に探ることができたら…。そんな妄想もしています。一方通行ではない、観客とインタラクティブにやりとりする映画を実現できれば、楽しみは更に増すことでしょう。
オフの過ごし方
ドライブが好きで、気の向くままにいろんなところに行くことを楽しんでいます。ドライブの最中や旅先でもそうなのですが、その他のどんな日常でも些細な発見がある。そういうものにアンテナを張りつづけることがカラダに染みついているので、いい意味で公私混同のような生活を送っています。
学生のみなさんへの
メッセージ
失敗への恐怖から、挑まずして殻に閉じこもってしまうことってありますよね。私の学生時代にも似たような経験がありますが、後になって「やっておけばよかった」と後悔するほどもったいないことはないと思います。世の中はテクノロジーの進歩により、何かと挑戦しやすい環境が用意されているわけですから、それを活かさない手はありません。興味があることには恐れずに手を出してみる。失敗したらまた考えてみる。そんな気概でいろんなことにトライしてみてください。