第54回 令和七年度「大谷竹次郎賞」決定のお知らせ
新作歌舞伎の優れた脚本に贈られる「大谷竹次郎賞」は、選考委員5名(水落潔、古井戸秀夫、中井美穂、大谷信義、山根成之)による審査の結果、以下の通り、決定いたしましたので、ご報告申し上げます。
大谷竹次郎賞
『木挽町のあだ討ち』 齋藤雅文 脚本
永井紗耶子原作『木挽町のあだ討ち』新潮社刊
市川染五郎、松本幸四郎、市川中車、中村壱太郎ほか出演
(歌舞伎座4月上演)
『歌舞伎 刀剣乱舞 東鑑雪魔縁(あずまかがみゆきのみだれ) 大喜利所作事 舞競花刀剣男士(まいきそうはなのつわもの)』 松岡亮 脚本
原案「刀剣乱舞 ONLINE」より(DMM GAMES/NITRO PLUS)
尾上松也、中村獅童、中村歌昇、中村鷹之資、尾上左近、中村莟玉ほか出演
(新橋演舞場7月、博多座・南座8月上演)
『木挽町のあだ討ち』は、直木賞と山本周五郎賞を受賞した時代小説を歌舞伎舞台化した作品です。芝居町で起こった敵討を各々の視点から語る構成の原作を、主人公の若侍の成長物語として歌舞伎劇に仕上げた点が評価されました。また、周りで見守る芝居の裏方と共にその人生を巧みな台詞で浮き彫りにした脚本が特に高評価を得ました。
『歌舞伎 刀剣乱舞 東鑑雪魔縁(あずまかがみゆきのみだれ)』は、名だたる刀剣が「刀剣男士」に姿を変え、歴史を守るために戦うゲームを原作とした作品です。本作は、実在の人物と名刀の運命を重ねた歴史劇として、登場人物一人ひとりがもつ背景を俳優の個性を活かして魅力的に描き、ゲームの歌舞伎舞台化として成功している点が評価されました。
今回は二作品同時授賞となります。
なお、大谷竹次郎賞の授賞は三年ぶりで、齋藤雅文氏・松岡亮氏はそれぞれ2回目の大谷竹次郎賞受賞となりました。
<「大谷竹次郎賞」について>