METバックステージツアー付き観劇チケット当選者 現地レポート②

2017年11月10日 金曜日

1.現地のメトロポリタン歌劇場【MET】の印象

<ホテルから見たMET>

アメリカを代表するオペラハウス…何度も写真や映像で見たミッドセンチュリー・モダン建築のメトロポリタン歌劇場。NYに着いた夜、ホテルの屋上からイルミネーションの中に浮かび上がるMETの5つのアーチが見えた時は!湧き上がる感動に思わずシャンパンで乾杯!その光景は今でも鮮明に目に焼き付いています。

「星の爆発」と呼ばれる煌びやかなシャンデリアが、ライトアウトの時にすーっと金箔に覆われた天井に引き上げられるのを見た瞬間、これこそがMETならではのオペラの幕開きだと嬉しくなりました。

また、正面玄関の両サイドにある大きな壁画「音楽の勝利」と「音楽の起源」、シャガールの作品ですが、その彼が最も愛したモーツァルトのオペラ「魔笛」も今回の鑑賞予定でしたので、その壁画に出迎えられてのメトロポリタン歌劇場への入場で、期待に胸膨らむスタートでした。

<シャガールの絵画とシャンデリア>

 

 

2.バックステージツアー

バックステージツアーには、オペラが「総合芸術」といわれる由縁があちらこちらに散りばめられていて「演劇・音楽・美術」の各ジャンルが総動員して作り上げるものだとオペラの魅力をより一層深くした有意義な時間になりました。オペラをより完成度の高いものにするために、昼間は別の演目のリハーサル、夜は当日本番とハードで過密なスケジュールを消化しつつ舞台を支えているのは、地下3階から地上6階までの大規模なバックステージの中で24時間体制で働く多くの人達の真摯な思いと熱意だと痛感しました。

何より印象深かったのは、主役で歌う歌手達と同じように裏でリハーサルを繰り返すカバーの歌手達のことでした。その日も地下3階のリハーサル室からトゥーランドットのカバー歌手達の歌声が響いていました。彼らは主役のリハーサルを見聞きすることから始まり、主役達が地下からステージのリハーサルに移った後、ようやく地下のリハーサル室で練習を始めるそうです。一遇のチャンスを願いながらピアノとカバーのコンダクターだけのリハーサルを繰り返しているのでした。ドミンゴやパヴァロッティも代役からスターになった歌手と思えば、彼らにもいつか主役スターへのチャンスが来るようにと願わずにはいられませんでした。

 

  • 3.《ノルマ》新演出の感想
  • <《ノルマ》カーテンコール>

    今回の《ノルマ》は2015-16のMETライブビューイングの《ロベルト・デヴェリュー》の演出家デイヴィット・マクヴィカーと、エリザベッタ役ソンドラ・ラドヴァノフスキーの再顔合わせということで非常に楽しみにしていました。冒頭から抒情的に歌い上げる彼女の声量や感情表現は素晴らしく、ノルマとアダルジーザが心通わし友情を確認しあうシーンでの二重唱に心揺さぶられました。徐々にむかえる劇的なラストシーンでは高揚感と切ない感動で思わず涙がこぼれました。

 

 

 

4.その他印象に残ったエピソード

METの象徴でもあるシャンデリア

「ここで働いている人はとても一生懸命働いています。心をいれて仕事をしています。自分の仕事が大好きで、一番いいものをステージにのせたいと思っています。デスクワークで疲れた時などそっとステージを覗いてみると心が感動して意欲がわいてきます」と時々日本語を模索しながらも分かりやすい説明でバックステージツアーの案内をして下さった現地スタッフの方のコメントです。短いけれど心に沁みる言葉でした。

彼女のMETでの仕事はマーケティングで、オペラに縁遠い若い人や年配の方にオペラの魅力を伝え興味を持ってもらうための活動をしているそうです。美術館でMETのアーティストを呼んでピアノを入れて小さな演奏会を催したり、学生達を本番前のリハーサルに招待したり…《ラ・ボエーム》の時には1200名の学生を招いたというエピソードも伺いました。METオペラの一つの責務として、学生達へのオペラ音楽の普及が挙げられるそうで、ニューヨークでは5つの高校を選んでサテライトでライブビューイングをを流しているとのこと。全国的には色々な教育プログラムを高校に提案し、先生達には具体的な指導もしてCDを渡し、生徒達に興味を持ってもらった上で映画館の招待券を配布したりもしているそうです。また、伝統的な演出のオペラの中にモダンな演出もいれて若い層を取り込むようにも努めているとも伺いました。「このMETライブビューイングを通しての活動の意義はとても深くて大切なものです。そしてこれはとてもいいアイデアで徐々にいい影響を与えています。」お別れ前の彼女の言葉ですが、その成果がますます大きく広がっていくようにと心から願いながらバックステージツアーを終えました。

 

 

 

 

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