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作品紹介

花柳十種

鶴亀鶴亀

里見弴の原作を久保田万太郎が脚色して昭和15年2月明治座で初演。当時若女方だった花柳章太郎が初めて老け役のおつるを演じ、大当たりをとった。

花柳の役=おつる

あらすじ

昭和10年代の2月のはじめ―。老婆のおつるは、四十幾つで夫と死別して家は没落、死んだ妹の亀の二人の娘を抱えて途方にくれた。
それから30年、二人の姪お勝とお芳は芸者になり、お勝は有名な日本画の大家浦上の二号、お芳は鉄鋼場主川路の正妻となって、おつるは川路家の隠居として何不自由なく暮らしている。
そのおつるが家の門前で転んで怪我をした上、風邪をひいて肺炎となって床に就き、快方に向かい出したある日、看護婦の松本にラジオ番組を読んで貰っている中、急に夫の昔話を始め、姪たちや昔から出入りの表具屋豊吉を呼び、旦那の好きだった並木の薮のそばをふるまおうと言い出した。
突然の招集に、お勝やお芳はもしや名僧知識が己の死を悟る様に何か直感したのではあるまいかと心配になってかけつけると、おつるは上機嫌で先にやってきた豊吉に薮のざるを食べさせながら死んだ夫ののろけ話などをしている。そして、今日の招集の理由を話しだした。おつるの夫は、ドイツ語を学び洋楽まで習った人だが、遊び手で行き筋にも通じ、歌が得意で家元の直弟子となり、2、3作詞までした。今夜のラジオ番組の中に夫が作詞した「初日かげ」という唄を放送するとあり、夫の馴染の人々を集めて一緒に聴こうとしたのだった。
そして放送の時間が迫り、おつるは紋服を肩にかけた。流れ出す「初日かげ」の唄。
おつるはいきなり病床から下りると仏壇へすべり行き、亡き夫を追慕して拝んだ。
お勝とお芳は老婆の夫を慕う心を思って快い涙を流したのだった。

花柳十種
歌行燈
「鶴亀」
大つごもり
あじさい
夢の女
鶴八鶴次郎
遊女夕霧
佃の渡し
京舞

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