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作品紹介

八重子十種

初代八重子滝の白糸

尾崎紅葉門下の泉鏡花(1873~1939)の原作を花房柳外が脚色したもの。明治28年川上一座が駒形浅草座で初演。翌年の暮れ、喜多村緑郎が白糸で賞賛を博した。昭和になり花柳章太郎、そして初代水谷八重子へと引き継がれ新派の当り狂言となった。劇中の水芸の華やかさ、卯辰橋(うたつばし)の見染めの場、大詰の法廷の場等が有名である。

八重子初演=昭和15年3月東宝劇場

あらすじ

水芸の太夫、滝の白糸は商売敵である南京出刃打の寅吉一座とことごとく対立していた。ある日二人は人力車と馬車で争ったが、白糸の乗った馬車は途中で故障。しかし南京寅の人力車が馬車を追い抜くと同時に白糸を抱いて馬に乗り、まんまと南京寅を見返したのが客馬車で生計を立てていた村越欣弥であった。村越が忘れられない白糸は金沢の卯辰橋(うたつばし)で再会した時に、法律を学びたいという彼の思いを知って学費を出すことを承知させる。しかし白糸の人気が以前ほどでなくなり大学卒業を目前とした頃にはその学費に困るようになる。ある夜、やっと頼み込んで興行師から借りた300円を持って帰るときにその金を待ち伏せていた南京寅に奪われてしまう。放心した白糸はたまたま木戸の開いていた金融業の家に入り、その老夫婦を殺めて金を取る。その現場に落ちていたのが襲われたときの南京寅の出刃だったため寅吉が捕まり、証人として白糸も裁判所に出廷を命じられる。その証人台に立った白糸の目の前には学業を終えて初めて検事席に立つ村越がいた。切々と真実の大切さを説く村越の言葉に白糸は凶行を自白し、舌を噛んで自殺する。その後を追うように村越もピストルで己が命を絶ったのであった。

八重子十種
大尉の娘
風流深川唄
「滝の白糸」
花の生涯
明日の幸福
十三夜
皇女和の宮
鹿鳴館
明治の雪
寺田屋お登勢

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