《シンデレラ》みどころレポート

2022年2月25日 金曜日

フリーアナウンサー 中井美穂

 

今回の『シンデレラ』は英語版でしかも上演時間は2時間弱。色鮮やかで甘くてとびきりお洒落なフランス菓子を美味しいお茶やお酒と一緒にいただくように楽しめるオペラになっています。

そう、なにも難しいことは考えずにただ味わえばいいのです。ストーリーは誰もがよくわかっているのですから。

 

 

幕が上がると、シンデレラのお話がフランス語で書かれている壁にドアがついていて、人々はそこから登場。場面によって空間を瞬時に作り出す演出で、スピード感があり効果バツグン。馬車やドアのデザイン、椅子などもレタリングを使っていてシンプルで機能的。紙の白、インクの黒、シャルル・ペローが書いた童話の表紙の赤が大変印象的に使われています。

 

 

オペラには女性が男性を演じる「ズボン役」(この呼び名も時代がかってますね)という役柄がありますが、このオペラでは、王子様を女性が演じます。観ている時には美青年にしか見えなかったのに、歌ってびっくり。

恋に恋する思春期真っ只中で、憂鬱を抱えた孤独な王子。絵本の中にいる美しい王子の魅力を伝えるためには、現実ではあり得ない夢のような存在感が王子役には必要です。舞踏会で出会い一目で恋に落ちる2人。必死で心情を訴える王子と、戸惑いながらも「あなたは私の素敵な王子様」と王子に惹かれるシンデレラ。二人の女性の声が紡ぐ二重唱は初めての恋を思い出させ、胸がキュンとして、地に足がつかないふわふわとした、まるでつま先で立っているような気持ちになりました。これがおとぎ話の恋物語。エミリー・ダンジェロの王子っぷりに胸ときめかせました。ぜひ宝塚歌劇を好きな方にも見て欲しいし、語り合いたい!

 

強烈な継母に、意地悪な姉たちはやりたい放題、言いたい放題。でもなぜか憎めないチャーミングさも兼ね備えています。気が弱く再婚したことを深ーく後悔する夫が歌うアリアの数々は尻に敷かれる夫の皆様に是非聴いていただきたい。

舞踏会に登場するお妃候補の女性たちは揃いも揃ってキャラクターが濃く、元気で積極的でかしましい。チャーミングな演技が光ります。一人ひとり違ったユニークなデザインの真っ赤なドレスに身を包んだ女性たちに元気をもらいました。

 

 

忘れてはならないのはまるでディズニー映画『101匹わんちゃん』クルエラのような大迫力の妖精です。ラスボス感満載で、魔法の杖でシンデレラを鼓舞し、奇跡を起こし、最後に二人を再び出会わせます。

誰だって人生は一度っきり。自分の人生をただ哀れみ嘆いてばかりいるのではなく、眠りから目を覚まして自分が持っている魅力に気づき目の前のチャンスをちゃんと捕まえて、勇気を持って行動に移すことが大切!それはシンデレラだけでなく、王子も同じこと。素晴らしい人生を歩みたい、実感したいのなら夢を夢のまま終わらせてはならないのです。魔法をかけるのは妖精の女王だけど行動するのはあくまでも本人。

 

キラキラと輝く色とりどりの音の世界とファンタジー溢れる童話の世界の両方に満たされる幸せなひととき。特に演劇やミュージカルが好きな方たちのオペラデビューにおすすめの作品です!!!