シネマ歌舞伎20周年企画【前田航基のシネマ歌舞伎試写室vol.7】『刺青奇偶』
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シネマ歌舞伎20周年アンバサダー前田航基さんが、俳優としてシネマ歌舞伎初心者として、独自の視点でシネマ歌舞伎の魅力をアピールする連載企画【前田航基のシネマ歌舞伎試写室】。
今回は、10月17日(金)上映開始の《月イチ歌舞伎》『刺青奇偶』を、全国上映より一足先に視聴していただきました!

(以下前田航基さんよりコメント全文)
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みなさんこんにちは。
いよいよ夏が終わって、少し肌寒くなり、秋の味覚に紅葉に楽しみがやって来るこの季節。
いかがお過ごしでしょうか?
さて、今月の前田航基のシネマ歌舞伎試写室です!
今月は『刺青奇偶(いれずみちょうはん)』で御座います。
同居人に逆恨みされ、斬りかかられた手取りの半太郎は同居人を川に落とす。
すると、少ししてまた川に人の落ちる音がする。
見てみると、女がいたので川へ飛び込み助けてやると、諸国を売られ渡ってきたというお仲だった。
お仲は半太郎に「見返りが目的なんだろう?」と責め立てますが、半太郎は「見くびるな」と怒り、持っていたお金を全て渡して去ろうとします。
本心からくる男の優しさを初めて感じたお仲は半太郎についていき、やがて2人は夫婦になりました。
しかし、お仲は病に伏せってしまい、半太郎はついに医者からお仲の先が長くない事を知らされます。
その事実をお仲には隠していましたが、本人もそれを察して、半太郎に最後の願いを申し出ます。
半太郎は結婚した際にやくざ者から足を洗いましたが、どうしても博打がやめられず、お仲はそれを心配して、半太郎の腕にサイコロの刺青を掘らせて欲しい、それを戒めに博打から足を洗うようにと頼みます。
その後半太郎は、最後に女房孝行をしようと決めます。
しかし肝心の金がない半太郎は賭場に難癖をつけて、金を取ろうと考えますが、それがばれ鮫の政五郎という親分まで現れます。
しかし親分は情けをかけて、持ち金を全てかけ、半太郎は命をかけて最後の博打に挑んでいくのでした。
中村勘三郎さん演じられる半太郎と坂東玉三郎さん演じられるお仲の人柄に笑わされ、愛おしく思い、最後は泣かされてしまいました。
半太郎は側から見れば博打に明け暮れ、褒められたもんじゃないのかも知れませんが、それでもとてもお仲思いで、お仲はお仲でそんな半太郎をとても好いていて、なんとも素敵な関係だなと感じました。
最後の刺青を彫っている場面では、半太郎の肌の感覚を焼き付けるかのようにゆっくりゆっくりと彫っていくお仲と、涙が溢れてどうしてもこぼてしまう半太郎の表情と、その2人の間に流れる、とても儚くも愛おしい空気感に圧倒されます。
表情も空間を楽しめる、シネマ歌舞伎ならではの表現だなと感動しました。
シネマ歌舞伎『刺青奇偶』は10月17日〜10月23日まで(東劇は延長あり)全国の映画館で上映されます!
是非劇場でご覧下さい!
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皆様のご来場を心よりお待ちしております。