シネマ歌舞伎20周年企画【前田航基のシネマ歌舞伎試写室vol.8】『京鹿子娘五人道成寺/二人椀久』
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シネマ歌舞伎20周年アンバサダー前田航基さんが、俳優として、シネマ歌舞伎初心者として、独自の視点でシネマ歌舞伎の魅力をアピールする連載企画【前田航基のシネマ歌舞伎試写室】。
今回は、11月14日(金)上映開始の《月イチ歌舞伎》『京鹿子娘五人道成寺/二人椀久』を、全国上映より一足先に視聴していただきました!

(以下前田航基さんよりコメント全文)
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みなさんこんにちは。
木々が赤や黄に色づき始め、本格的に寒風に吹かれて、一年の終わりを意識し始める季節になって参りました。
いかがお過ごしでしょうか?
さて、今月の前田航基のシネマ歌舞伎試写室です!
今月は『京鹿子娘五人道成寺/二人椀久』の二本立てで御座います。
一本目の『京鹿子娘道成寺』は、以前シネマ歌舞伎試写室5月号でご紹介した『日高川入相花王』でも描かれていた、安珍清姫伝説の後日譚なんです。
道成寺の鐘に隠れた安珍を焼き殺した際、自らも息絶えた清姫。
その清姫が怨霊となって、鐘供養に白拍子花子として舞いに来ます。
やがて、本性をあらわして蛇体へと変化していきます。
見所はなんと言っても舞。
舞舞舞の舞尽くしです。
白拍子花子を坂東玉三郎さん中村勘九郎さん中村七之助さん中村梅枝(現・中村時蔵)さん中村児太郎さんが演じられ、5人揃っての舞は圧巻です。
よくもまぁそんなにと思うほどに息が合っていて、技術の凄さに驚かされます。
そして今作はシネマ歌舞伎ならではの趣向として、場面転換などの際に、5人それぞれのインタビューや、舞台裏の様子などが盛り込まれていて、京鹿子娘道成寺への思いや、玉三郎さんを慕う四方の思いなど色々知れて、満足感も凄いです。
立役を勤められることの多い勘九郎さんの女方が見られるのも注目です!
二本目は『二人椀久』
新町の廊で松山太夫に魅了され大金を注ぎ込んでしまってた椀屋久兵衛は、親族に座敷牢へ押し込められてしまいます。
松山に逢えない辛さから心が乱れたた久兵衛は松山を求めて彷徨い、誰もいない静かな浜辺の松の木の下でまどろんでしまいます。
すると、そこへ松山が現れ、昔廓で過ごしたように、連舞を踊り始めます。
しかし、不意に松山の姿が消えて、幻影を見ていたと悟る久兵衛。
その場に泣き崩れるのでした。
今月は舞尽くしです!
『京鹿子娘五人道成寺』で同じ白拍子花子を演じられたお二方ですが、『二人椀久』では坂東玉三郎さんが傾城松山太夫を、中村勘九郎さんが椀屋久兵衛を演じられています。
『京鹿子娘五人道成寺』とは違った意味で息がぴったり合った連れ舞は、2人が過ごしただろう楽しかった日々が伺え、愛し合う2人の姿に虜にされます。
最後の久兵衛は悟った様で、松山への気持ちを割り切れないなんとも言えないニュアンスが、舞だけで痛々しい程伝わって来ます。
どちらも舞を楽しむ演目ですので、古い言葉や言い回しを聞き取るのに自信が無いという方にも楽しんでいただける作品になっていると思います!
シネマ歌舞伎『京鹿子娘五人道成寺/二人椀久』は11月14日(金)〜11月20日(木)まで(東劇は延長あり)全国の映画館で上映されます!
是非劇場でご覧下さい!
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皆様のご来場を心よりお待ちしております。