MET初演

ジャニーン・テソーリ《グラウンデッド 翼を折られたパイロット

Grounded - Jeanine Tesori

上映期間
2024年1213日(金)~1219日(木)

※東劇のみ12/26(木)までの2週上映

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妊娠により戦闘機パイロットの職を追われたジェスの苦悩!超新星E・ダンジェロの凜とした美声が浮き彫りにする現代の悲劇!

母になったために戦闘機パイロットから地上のドローン操縦士になったジェスの未来は?トニー賞に輝く音楽劇の名手J・テソーリの話題のオペラが待望のM E T初演!多様性を極めつつ心を打つ音楽が、E・ダンジェロのくっきりした美声が、現代アメリカの悲劇を浮き彫りにする。3D映像とLED照明を駆使したM・メイヤー演出は息を呑む迫力!現代音楽にも通じたMET音楽監督Y・ネゼ=セガンの躍動する指揮で、「今」だからこそ生まれた傑作を。   

指揮:
ヤニック・ネゼ=セガン
演出:
マイケル・メイヤー
出演:
エミリー・ダンジェロ、ベン・ブリス、カイル・ミラー、グリア・グリムスリー
上映時間:
2時間41分(休憩1回)
MET上演日:
2024/10/19
言語:
英語
※ スケジュールは余儀なく変更されることがございます。

《グラウンデッド 翼を折られたパイロット》のあらすじ

現代のアメリカ。F-16の女性パイロット、ジェスは、牧場経営者のエリックと恋に落ち妊娠する。妊娠は予定外だったが、そのためジェスは戦闘機パイロットの職を追われ、ドローン操縦士への転身を提案される。配属先はラスベガス近郊の基地。エリックも同行し、カジノのディーラーに転職した。家族と過ごす時間も確保されたにもかかわらず、ジェスは次第に精神を病み、幻覚に襲われる。ある日、標的を追っていたジェスに衝撃的な出来事が…。  

第1幕

ジェスはイラク戦争で戦うF-16のエースパイロット。飛行中の自由と孤独を愛している。ワイオミングでの休暇中、彼女は牧場主のエリックと出会い、一夜を共にする。その結果、予期せぬ妊娠をし、再会した二人は結婚する。
育児のため5年間仕事を離れていたジェスが軍に戻ると、司令官からドローン操作の任務を言い渡される。最初は抵抗したジェスだが、毎晩家族のもとへ帰れると説得されて受け入れる。エリックと娘のサムとともにラスベガス近郊の基地付近へ移り住み、ドローンのカメラ操作をする「センサー」とともにドローンの任務に就く。しかし過酷な任務とドローンの攻撃による人的被害を目撃したことで、ジェスは解離症状を起こすようになる。

第2幕

サムを連れてショッピングモールで買い物しているジェスは、防犯カメラで監視されているという被害妄想に陥る。幻聴で指令を聞いた彼女は基地へ戻る。
今はカジノのディーラーとして働くエリックは、勤務終了時のルーティーンを決めて切り替えをすべきだとアドバイスをするが、ジェスは既に救えないところまできてしまっていた。
ジェスはサーペントと呼ばれる大物の追跡という重大任務を与えられる。サーペントの顔を確認したら攻撃せよとの指示が出るが、彼はなかなか車を離れない。ついにサーペントが姿を現したとき、ジェスは彼の小さな娘が彼のもとへ走り寄るのを見る。その娘にサムの姿を重ねて見たジェスは故意にドローンを墜落させる。軍法会議にかけられるジェス。独房のなかで、彼女は再び自由を得るのだった。

作品解説・あらすじ概要執筆:加藤浩子(音楽評論家)

キャスト&スタッフ

  • ヤニック・ネゼ=セガン

    Yannick Nézet-Séguin

    《指揮》

     

    ヤニック・ネゼ=セガン

    Yannick Nézet-Séguin

    《指揮》

    歌手や楽器奏者と堅い信頼関係を築き、音楽の潜在力を引き出してドラマを活き活きと構築する指揮者。1975年生まれのフランス系カナダ人で、指揮、ピアノ、作曲、室内楽を学び、C・M・ジュリーニに師事。フィラデルフィア管音楽監督等を歴任後、2018年9月からMET第3代音楽監督を務めている。24年、METオーケストラを率いて来日し、深い探求心と音楽愛に根差した躍動感あふれる音楽を聴かせた。今季LVは《トスカ》《アイーダ》《サロメ》にも登場する。

  • マイケル・メイヤー

    Michael Mayer

    《演出》

     

    マイケル・メイヤー

    Michael Mayer

    《演出》

    ブロードウェイの鬼才だがオペラから古典演劇、映画までダイナミックに魅せる。1960年、米メリーランド州で生まれ、俳優活動を経て演出家に。2007年、『春のめざめ』でトニー賞ミュージカル最優秀演出賞を受賞。METデビューとなったLV12-13の《リゴレット》は、舞台を60年代のラスべガスに移し替え、LV18-19の《マーニー》は映画のようにリアルに描写した。同シーズンの《椿姫》では、設定は19世紀パリのまま深化を追求した。今季LVは《アイーダ》を新たに演出。

  • エミリー・ダンジェロ

    Emily D'Angelo

    《ジェス》

     

    エミリー・ダンジェロ

    Emily D'Angelo

    《ジェス》

    メゾソプラノ

    バロックやモーツァルト、ロッシーニなどで高い音楽性と卓越した技巧に根差した気品ある歌を聴かせるメゾソプラノ。1994年、カナダの音楽一家に生まれ、チェロや合唱を経験後、トロント大学で音楽学士号を修得。だが、すでに16歳で、トロント交響楽団でソリストデビューを果たしていた。2017年からMETのリンデマン若手アーティスト養成プログラムで研鑽。METデビューは18年、《魔笛》の夜の女王の侍女役。LV21-22《シンデレラ》の王子役が絶賛された。

  • ベン・ブリス

    Ben Bliss

    《エリック》

     

    ベン・ブリス

    Ben Bliss

    《エリック》

    テノール

    叙情的な美声をやわらかく、豊かに響かせるリリック・テノール。米カンザス州出身で、METのリンデマン若手アーティスト育成プログラムで研鑽を積む。2014年、《ニュルンベルクのマイスタージンガー》のフォーゲルゲザングでMETデビュー。特にモーツァルトの歌唱は世界的に評価が高い。21年、METのビバリー・シルズ賞を受賞。LV22-23の《ドン・ジョヴァンニ》ドン・オッターヴィオ役は優美な名唱だった。今季のMETでは《魔笛》のタミーノ役も歌う。

  • カイル・ミラー

    Kyle Miller

    《センサー》

     

    カイル・ミラー

    Kyle Miller

    《センサー》

    バリトン

    広いダイナミックレンジを誇る温かい音色の新進バリトン。サンフランシスコに生まれ、NYのジュリアード音楽院を卒業。急速に頭角を現し、2022年にはMETエリック&ドミニク・ラフォン・コンクールで有力な賞を受賞し、フィラデルフィア歌劇場の新進芸術家にも選出。現在はベルリン・ドイツ・オペラを中心に活躍している。今回がMETデビューで、終了後はベルリンで《トスカ》のアンジェロッティ役、《ラ・ボエーム》のショナール役を歌う。

  • エリー・ディーン

    Ellie Dehn

    《もう1人のジェス》

     

    エリー・ディーン

    Ellie Dehn

    《もう1人のジェス》

    ソプラノ

    耳に心地よい声に音圧を加え、叙情表現にも劇的表現にも生命をあたえるソプラノ。1980年にミネソタ州で生まれ、オハイオ州のオーバリン音楽院やフィラデルフィアの声楽芸術アカデミーで学んだ。METでは2008年にデビュー以来、《ドン・ジョヴァンニ》のドンナ・エルヴィーラ役や《ラ・ボエーム》のムゼッタ役などで喝采を浴び続ける。22年、小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクト《こうもり》で来日、すぐれたロザリンデを聴かせた。LV初登場。

  • グリア・グリムスリー

    Greer Grimsley

    《司令官》

     

    グリア・グリムスリー

    Greer Grimsley

    《司令官》

    バスバリトン

    深い声を高貴に響かせる現代を代表するバスバリトンの一人。1956年、米ニューオリンズで生まれ、NYのジュリアード音楽院等で学んだ。80年代に《カルメン》のエスカミーリョ役、《サロメ》のヨカナーンなどで評価を高めた。94年、《ピーター・グライムズ》でMETデビュー。特にワーグナー歌手として名をとどろかせ、十八番はLV18-19で歌った《ワルキューレ》のヴォータン。世界の一流歌劇場のほか、13年には日本のびわ湖ホールで歌った。

プロフィール執筆:香原斗志(オペラ評論家)

タイムテーブル

 

時刻の目安 項目 時間
  開映前映像 CM&客席映像 約5分
1幕 本編 ◆オープニング・解説(N・シエラ) 約65分
第1幕
休憩  特典映像 ◆インタビュー(E・ダンジェロ) 約9分
◆ドキュメンタリー(台本 G・ブラント&作曲 J・テソーリ)
休憩 客席映像(INTERMISSION) 約8分
特典映像 ◆ドキュメンタリー(M・メイヤー&美術 M・リエン
&プロジェクションデザイン J・H・トンプソン)
約17分
◆2024-25シーズン予告
◆インタビュー(指揮 Y・ネゼ=セガン)
◆インタビュー(B・ブリス)
2幕 本編 第2幕 約50分
カーテンコール&クレジット 約7分
上映時間:2時間41分

 

 

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