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【作品データベース】愛染かつら 前後篇 あいぜんかつら ぜんこうへん

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・125分
「花も嵐もふみ越えて、行くが男の生きる道…」(西条八十作詞より)。この哀切な流行歌を主題歌として公開された。原作は川口松太郎で婦人雑誌に長期連載の典型的なスレ違いメロドラマである。監督野村浩将、脚色野田高梧、音楽万城目正。子持ちの美人看護婦田中絹代と、病院の若主人上原謙の悲恋、それに絹代の同僚が加勢するという、大衆娯楽映画としては、申し分のない内容で、初日から大ヒットとなった。

STORY
津村病院の住み込み看護婦をしている高石かつ枝(田中絹代)には、病死した夫との間に5歳になる娘の敏子(小島和子)があり、姉のさだ枝(吉川満子)に預けていた。津村病院長男の浩三(上原謙)が博士号をもらい、その祝賀会が行われた。その会でかつ枝は余興で歌うことになった。伴奏を浩三が買って出て、これが縁で浩三とかつ枝はたびたび会うようになった。浩三はかつ技に結婚を申し込む。かつ枝には子供があり、身分の相違とを思い合わせれ躊躇っていた。だが、誠実な浩三の熱意に打たれたかつ枝は、愛染堂の桂の木の下で堅い愛の誓いを交わした。しかしこのことは、名門・中田病院の令嬢と浩三を結婚させようとしていた家族の大反対にあう。一番強く反対するのは浩三の妹・竹子(森川まさみ)で、彼女はかつ枝を罵倒した。窮地の二人は、浩三の先輩服部医学士(佐分利信)を訪ねて京都に身を隠そうとした。だがその当日、娘の敏子が急病に倒れたため、かつ枝は約束の場所に行けなくなった。一人京都へ向った浩三は、服部の世話で大学の研究室で働くようになる。服部の妹美也子(高杉早苗)は浩三に惹かれるものを感じ、何かと世話を焼く。数日してかつ枝が服部の家を訪れた。応対に出た服部は、かつ枝を誤解しているため、浩三の居場所を教えなかった。後日、かつ枝が訪れたことを知らされた浩三は急拠帰京し、かつ枝のアパートを訪ねる。浩三は、彼女に敏子という娘があることを知って、会わずに帰った。数ヶ月が経過した。浩三は病院に帰ると、竹子の圧力でかつ枝は病院から姿を消していた。そんなある日、新聞に「白衣の天使よりレコード歌手へ」という見出しで、かつ枝が自作の歌の発表会を歌舞伎座で行うということが報じられていた。津村病院の看護婦たちは応援しようとするが、裏切られたと思い込んでいる浩三は、看護婦の外出を許さない。だが、かつ枝の同僚・峯沢治子(出雲八重子)、若井たつ子(草香田鶴子)から彼女の立場と事情を説明されて、すべてを了解した浩三は、看護婦達全員に外出許可を与えた。発表会は盛会だった。楽屋にかけつけた浩三に、かつ枝はだまってうなずくだけであった

キャスト・スタッフ

- キャスト -
上原謙
田中絹代
佐分利信
高杉早苗
- スタッフ -
原作:川口松太郎
監督:野村浩将
脚色:野田高梧
撮影:高橋通夫
音楽:万城目正

配給:松竹
©1938松竹株式会社

ジャンル:現代劇