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【作品データベース】女性の勝利 じょせいのしょうり

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・84分
大船作品 第2次世界大戦後、GHQによる占領政策の一環として、民主主義を啓蒙・促進する“アイデア・ピクチャー”の製作が奨励されるなか、溝口健二監督が田中絹代の主演で連作した、いわゆる“女性解放3部作”の第1弾。長年続いた封建的家族制度の打破と、女性の自立・解放というテーマを前面に押し出した、生硬でメッセージ色の強い内容ではあるものの、溝口監督ならではの息詰まるドラマ演出や長回し撮影も随所に見られる意欲作。女性の自立・解放を熱っぽく説く新時代の女性弁護士に扮して、田中絹代が旧態依然たる封建的検事と対決する。共同脚本を手がけたのは、新藤兼人と、小津安二郎監督とのコンビで知られる野田高梧。

STORY
自由主義陣営の評論家・山岡敬太(徳大寺伸)は終戦と共に獄舎から釈放されたが、五年間に渡る獄中生活は心身を再起不能にし、彼は獄舎から直ちに病院へという惨めな姿であった。この敬太を温かく迎えたのはかつての彼の愛人女弁護士細川ひろ子(田中絹代)であった。この二人の恋愛再燃を最も恐れたのはひろ子の姉みち子(桑野みゆき)であり、牢固たる封建思想の持ち主であるその良人河野検事(松本克平)であった。司法の民主化が叫ばれその運動が活発化するに従って弁護師団は河野検事を粛正の第一位に擬しその機会を狙っていた。ひろ子は女学校時代の同窓生朝倉もと(三浦光子)が貧窮のドン底にあって良人に死なれ悲嘆のあまり精神錯乱を起こして愛児を死に至らした事件の公判にもとの弁護士として立ち図らずも河野検事と対決、河野検事は被告が母としての責任を回避し女の道をふみした非倫行為なりとし懲役五年を求刑したのに対し、日本の封建的家族生活の欠陥を指摘、日本の全女性があまりにも男性依存の精神に培われた結果一度良人という支柱を失えばたちまち苦境に陥ると説破、この事件は日本社会の罪なりとして無罪を主張、同時に女性の男性従属よりの覚醒を叫んだ。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
桑野通子
田中絹代
三浦光子
風見章子
徳大寺伸
- スタッフ -
監督:溝口健二
脚本:野田高梧
脚本:新藤兼人
撮影:生方敏夫
音楽:浅井挙曄

配給:松竹
©1946松竹株式会社

ジャンル:現代劇