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【作品データベース】歌麿をめぐる五人の女 うたまろをめぐるごにんのおんな

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・74分
京都作品 溝口健二監督が、昭和を代表する名女優・田中絹代を起用して撮り上げた時代劇。浅草観音前の水茶屋難波屋の娘おきたは歌麿に描いてもらった一枚の絵のおかげで、その名がたちまち江戸中に知れ渡った。ところが、勝気で嫉妬深い彼女は数々の問題を起こし…

STORY
幕府の御用絵師狩野瑩川院の門弟小出勢之助(坂東好太郎)は許婚の雪江(大原英子)を連れて版画屋に立ち寄り、歌麿(六代目坂東簑助)の自賛入りの絵を見て、傲慢も甚だしいと立腹し、歌麿に対して絵の勝負を申し込む。しかし歌麿の力倆に頭を下げ、千石の扶持と刀を放棄して民衆画家歌麿の門下に降りることを誓った。浅草観音前の水茶屋難波屋の娘おきた(田中絹代)は歌麿に描いてもらった一枚の絵のおかげで、その名がたちまち江戸中に知れ渡った。彼女は紙問屋、仙香堂の息子庄三郎(中村正太郎)に対して激しい恋慕の情を抱いていた。ちょうど勢之助と歌麿が家で談じ合っている矢先、庄三郎が多賀袖花魁(飯塚敏子)と駈落ちして行方不明になったという事が瓦版で報道される。勝気で独占欲の強いおきたはくやしがり、勢之助を追いかけて来た雪江に対しても嫉妬して邪魔をはじめ勢之助と雪江との間を円満解決しようと骨折っている歌麿にあたかも狂った如く邪慳にからみついた。その為歌麿は憔悴し切って、絵も荒れすさみ昔の面影はすっかりなくなってしまった。その頃松平周防守(尾上多見太郎)が自邸の泉水で腰元達を裸体で、水中に飛び込ませて鯉の捕みどり競争をやらせるという噂を聞きこんできた蔦屋重三郎(高松錦之助)は十返舎一九(堀正夫)、山東京伝(葉山純之輔)と計って歌麿を松平邸に案内させ、水中に飛沫をあげて躍る美女の肉体美を満喫させる。じっとみつめていた歌麿は裸体の美女群中最もふくよかな肉体の持ち主お蘭(川崎弘子)に目をつけ霊感の湧き上がるままにお蘭をモデルに「美人鯉取りの図」を書き上げた。ところが以前歌麿の書いた太閤記の絵が、公方様に皮肉を飛ばしたものだという理由で歌麿は奉行所から差紙を受け手錠三十日の刑をいい渡されてしまう。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
六代目坂東簑助
坂東好太郎
田中絹代
川崎弘子
飯塚敏子
花柳小菊
草島競子
- スタッフ -
原作:邦枝完二
監督:溝口健二
脚色:依田義賢
撮影:三木滋人
音楽:大澤壽人

配給:松竹
©1946松竹株式会社

ジャンル:時代劇