映画・アニメの世界

【作品データベース】結婚 けっこん

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・86分
大船作品 戦後の冷たく荒廃した世相を背景に、生活苦のため結婚が思うに任せない恋人同士の行方を描いたメロドラマ。主演は戦前に『愛染かつら』で空前のブームを巻き起こした田中絹代と上原謙の人気コンビで、木下惠介監督の原案を基に新藤兼人が脚色。戦後の荒廃が愛し合うふたりに重くのしかかっていくという社会派的要素を忍ばせ、そこにロマンティシズムを発露させていくことで、娯楽映画としてのバランスを巧みに保っている。初公開時は同じ戦後の困窮と、また見合い結婚が主流だった当時、恋愛で結婚へ行きつくことに憧憬する若者たちの共感を得て、クリーンヒットとなった。

STORY
松川文江(田中絹代)と菅原積(上原謙)は相思相愛の間柄だったが、二人の結婚はなかなか実現できなかった。文江の父(東野英治郎)はある会社に三十年も実直に勤めてきたが終戦とともに失業したきりで、以来一家の経済は文江と妹君子(井川邦子)の乏しい収入によって支えられていた。一人の弟(鈴木彰三)が大学へ通っているのも苦しい負担だった。こうした事情が文江と積の結婚を阻んでいた。彼女の結婚は今の文江一家にとって経済上の破綻に等しかった。娘の苦しい立場を知る父は八方就職に奔走し、母も妹も弟も姉の結婚を一日も早く実現させようと心をつかっていた。しかし周囲の人たちの暖かい心づかいにも拘らず、二人の結婚のゆく手には依然として現実の重い扉が立ちふさがっていた。積にも文江一家を養うだけの力はなかった。ある日、父は昔の下役島本(小沢栄太郎)に会い、いま料理屋をやっていて景気のいい島本から料理屋の勘定係で働いてはどうかと勧められた。娘の結婚を願う父ではあったが、一徹な気性として島本のような生活は到底耐えられず、その決心も鈍るのだった。ちょうどその頃積の姉藤枝(村瀬幸子)が上京してきて、老さき短い母親の唯一の楽しみは積の嫁の顔を見ることだけだという。それを知った文江は苦しんだ。自分の結婚をめぐって皆が苦しんでいることを思い、この際自分が身を退くより他に無いと決心する。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
田中絹代
上原謙
井川邦子
東野英治郎
- スタッフ -
原作:木下惠介
監督:木下惠介
脚色:新藤兼人
撮影:楠田浩之
音楽:木下忠司

配給:松竹
©1947松竹株式会社

ジャンル:現代劇