映画・アニメの世界

【作品データベース】長屋紳士録 ながやしんしろく

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・72分
大船作品 焼け野原で迷った孤児を、文句を言いつつも引き取って面倒を見てやる長屋の心ある人々。シンガポールから引き揚げてきた小津安二郎監督の戦後第1作で、飯田蝶子、河村黎吉、笠智衆といった大船の名優たちが再び結集し、新しい小津世界を築き上げるきっかけとなった。

STORY
東京の焼け跡に復興の家がぼつぼつ建ちはじめ、昔なじみの顔もそろってきた。数年前夫を失い、続いて一子をも失ったおたね(飯田蝶子)は、たった一人で昔通りの荒物屋を開いている。ある日彼女の家の裏に住む占見登竜堂先生は一見戦災孤児のような少年幸平(青木放屁)を拾ってきた。しかし自分で育てる力のない登竜堂はそれをおたねに押しつけた。おたねは内心甚だ迷惑に思ったが、別にどこへ行かすあてもないので仕方なく一夜だけ泊めてやる。そして翌日近所の家々を頼んで歩いたが、どの家庭を見て、一人暮らしのおたね以上に幸平を養うのに適した家はなかった。おたねはかつて父と共に住んでいたという田舎の町へ幸平を連れて出かけたが、求める家は見当たらなかった。今はおたねも幸平を捨てる訳にもゆかず、やむを得ずまた自分の家に連れ戻った。そして二人の生活が続き、幸平の少年らしい仕草を見ているうち、おたねは自分の失った愛児の面影を想い出さずにはいられなかった。近所のどの家庭を見ても、皆子供を中心に幸福そうである。子供の良さは誰の子も同じではないか。おたねはついに幸平を我が子として育てようと決心する。やがては学校にも上げてやらねばなるまい。幸平もおたねになついてきた。しかしある日不意に幸平の父(小沢栄太郎)が訪ねて来た。彼は東京へ仕事を求めに来た時、幸平とはぐれてしまったのである。おたねは礼を言って去る親子を見送って、少年の本当の幸福をしみじみと願った。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
飯田蝶子
吉川満子
坂本武
河村黎吉
笠智衆
青木富夫
- スタッフ -
監督:小津安二郎
脚本:小津安二郎
脚本:池田忠雄
撮影:厚田雄春
音楽:斎藤一郎

配給:松竹
©1947松竹株式会社

ジャンル:現代劇