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【作品データベース】われ泣きぬれてわれなきぬれて

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・91分 京都作品
石田清吉企画。沢村勉脚本、芦田正監督、鹿島正雄が撮影担当。主演は若原雅夫、津島恵子、その他に徳大寺伸、月丘千秋など。

STORY
石川啄木(若原雅夫)は病の床にふせっている。赤貧洗うが如き状態が続き、薬代さえどこからも出ない。妻の節子(津島恵子)は途方にくれる以外にどうすることも出来ぬ。同郷の先輩金田一京助(徳大寺伸)の心からの援助も、今は焼石に水であった。“今日もまた胸に痛みあり、死ぬならばふるさとに行きて死なむと思う”枕元に出ているやせ細った啄木の手に、詩のノートがあった。悲しい歌だ。親友若山牧水(永田光男)はこれをみて啄木を励ました。「死ぬことを考えてるのか。そりゃいけない、どうでもして生き抜くことを考えなけりゃ、君の詩を出版し給え、そうすればくらしの助けにもなるじゃないか」啄木は頭をふる。「これは出版したくないんだ」。牧水にも節子にも啄木の気持ちはわからなかった。ふるさと澁民村に帰りたい、と啄木が口癖のようにいい出した。ああ、ふるさとの山川、そしてあの小学校、啄木のまぶたの中に浮ぶ景色。しかし無情な死が若い啄木をつれ去って行く。節子の悲しみ、先輩友人の嘆き。一子京子(宇根泰子)だけは何も知らずにいう。「お父ちゃんはいつ帰って来るの?」節子の脳裏に今はクッキリとふるさとの姿が浮ぶ。せめて遺髪だけでも思い出の地に。節子は京子を抱きしめながら澁民村を訪れた。五年前のあの迫害を受けた土地に。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
若原雅夫
津島恵子
市川春代
月丘千秋
- スタッフ -
監督:芦原正
脚本:沢村勉
撮影:鹿島正雄
音楽:古賀政男

配給:松竹
Ⓒ1948松竹株式会社

ジャンル:現代劇