映画・アニメの世界

【作品データベース】誘惑 ゆうわく

作品情報

INTRODUCTION
フィルム巻数・9巻
大船作品 前年の『安城家の舞踏会』の製作スタッフがそのまま顔をそろえて、新藤兼人のシナリオ、吉村公三郎がメガフォンをとり、カメラは生方敏夫の担当。吉村としては『象を喰つた連中』『安城家の舞踏会』に次ぐ終戦後第三回作品。『安城家の舞踏会』に次いで新東宝の原節子を起用した。恩師の墓標に詣でた代議士の矢島(佐分利信)は、そこで遺児の孝子(原節子)に出会い彼女の生活の援助を申し出る。家庭教師の名目で矢島の家の人となった孝子は子供たちに慕われるが、療養所にいる妻・時枝(杉村春子)だけは彼女に嫉妬の念を抱いていた…。

STORY
青年代議士矢島隆吉(佐分利信)は恩師人見敬太の新しい墓標に詣でた時、遺児孝子(原節子)に会い医専に通う彼女の学業と生活を助けるためにあらゆる援助を申し出た。家庭教師の名目で隆吉の家の人となった孝子は子供たちにも慕われ家庭に明るい灯を灯した。孝子のただ一つの気がかりは神田の下宿を引き払う時、医大の学生武田三郎が学資稼ぎのヤミ行為が発覚して捕らわれたことだったが隆吉は気持ちよく罰金を出してやった。隆吉には妻時枝(杉村春子)がいたが、胸の病のため海辺の療養所にいるので、月一回子供たちとともに訪れるのを楽しみにしていた。ある日孝子も伴って療養所を訪ねた時、時枝は彼女の健康と美貌にたまらない羨望を覚え、同時にこみあげる嫉妬の念をどうする事も出来なかった。やがて選挙の応援に出かけた隆吉は過労がたたって旅先で倒れた。電報を手にかけつけた孝子の前には意外にも元気な彼がいた。その夜同宿を余儀なくされた温泉宿で、彼女は隆吉の勧めるままに酒を飲み踊った。抱いた隆吉の手に加わる力、熱いまなざし-全てを知った孝子は逃れるように東京に帰り、隆吉もまた後を追った。許されるべき恋ではない、しかし押え切れない愛情に二人はしかと抱き合った。その時ドアを開けて入って来た時枝は嫉妬に狂って孝子を罵倒した。たまりかねた孝子は家を出て元の下宿に戻ったが、そこには罪は晴れたが罪ゆえに学業と東京を捨て寂しく田舎に帰る武田が忙しげに旅仕度をしていた。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
原節子
佐分利信
山内明
杉村春子
- スタッフ -
監督:吉村公三郎
脚本:新藤兼人
撮影:生方敏夫
音楽:木下忠司

配給:松竹
©1948松竹株式会社

ジャンル:現代劇