映画・アニメの世界

【作品データベース】受胎 じゅたい

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・82分
脚本は清島長利、原作並びに監督は渋谷実。渋谷監督がかつてはなった傑作『母と子』の系統に属する野心作で、泥沼のような汚れて濁り切った都会の中に生きる母、子、良人、妻、恋人など多彩な人間の中に、愛欲に狂うダンサーや、純情な踊り子に堕胎を強いる男などを絡ませ、激しく大胆に、人生を解剖した野心的メロドラマである。新劇女優田村秋子が映画初出演。

STORY
世に母の愛情ほどやさしく強く崇高なものはない。長い間女手一つで育て上げたふさ(田村秋子)の長男浩一(宇佐美淳)は恩師の令嬢敬子(高峰三枝子)と結婚し、産婦人科医院を開業し、ふさのホッと一息したのも束の間だった。次男の雄二(森雅之)はふさの疎開中にすっかり手のつけられぬ不良青年となっていた。雄二はアパートに十も年上のダンサー千代子(村田知英子)と同棲し、それにあき足らずレヴューガールのみさ子(幾野道子)までも妊娠させていたのだ。それを知ったふさの悲しみ。雄二は何一つ希望のないその日その日を千代子によりかかり、だれた生活を続けていた。そのためみさ子の子供も、みさ子のよい父になってくれと頼むのをしり目に、堕胎させることにばかり窮余の策をねっていた。ふさはみさ子の純情を知り、嫁としてみさ子を迎えるためにヤミ屋の安田(東野英治郎)に千代子との別れ話を一任した。しかし安田の求めるものは人の幸福ではなく第一に己の懐を肥やすことだったのだ。ふさは母の手でその問題を解決するために、祖先伝来の大切な仏像を安田の手に任せた。時価十万円の代物と知った安田はほくそ笑んだ。それを知った雄二はその仏像を取り返したい一心で格闘の末、ついに命と仏像を交換するような結果となってしまった。その臨終の際にすでに非を悟った雄二は、ふさにみさ子と赤ん坊を頼み、みさ子にはん坊を正直で親切な子に育ててくれと頼むのだった。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
田村秋子
高峰三枝子
森雅之
宇佐美淳
幾野道子
村田知英子
- スタッフ -
監督:渋谷実
脚本:清島長利
撮影:長岡博之
音楽:伊藤宣二

配給:松竹
©1948松竹株式会社

ジャンル:現代劇