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【作品データベース】わが恋は燃えぬ わがこいはもえぬ

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・84分
京都作品 溝口健二監督とのコンビによる“女性解放3部作”の第3弾。女性の自立・解放を高らかにテーマに掲げ、溝口健二監督が主演女優の田中絹代とコンビを組んで戦後すぐに発表した、『女性の勝利』『女優須磨子の恋』に続く“女性解放3部作”の第3弾。明治・大正時代、婦人解放運動のために苦闘した先駆者・影山(福田)英子の半生をもとに、野田高梧が原案、新藤兼人と依田義賢が共同で脚本を執筆。田中絹代扮するヒロイン平山(≒影山)英子と行動を共にし、自由民権の思想を高邁に説く一方で、実は女にだらしない男性主人公・重井(≒大井)憲太郎を好演するのは菅井一郎。

STORY
明治十七年、自由民権の思想はほうはいとして青年の心を揺さぶった。岡山の旧家封建的な制度の中に育った平山英子(田中絹代)もその恋人自由党員早瀬龍三(小沢栄)の帰省によって、急速に自由への憧れに胸を熱くした。東京へ帰った早瀬を追って英子が国を出たのは、それから間もなくだった。東京へ-英子はそこでいまだ藩閥専制の渦の中で、自由の思想をもって生きていくことの如何に困難であるかを知ると同時に、早瀬が意外にも口に自由を唱え、その正体は藩閥政府のスパイであることを知って愕然とした。英子は裏切られた。しかしその英子を励ましてくれる重井憲太郎(菅井一郎)があった。重井は自由党内の重要人物であり何かにつけ英子を力づけ、英子の心は急激に重井にひきつけられた。かかるとき井藤俊文(東野英治郎)の帰朝によって自由党への弾圧は激しく、総裁稲垣(千田是也)はもろくも井藤の膝下にあった。重井は痛憤してあくまで自由のために闘うことを心に誓った。そこには既に重井と結ばれた英子があったのだ。そのとき秩父の製糸工場の突発事件が起こった。虐げられた女工たちとその親たちである貧農が暴圧に耐えかねて立ったのだ。重井と英子は応援にかけつけた。その夜工場は火災を起こし、重井も英子も、そして女工の一人、放火した千代(水戸光子)が投獄された。千代はかつて岡山の英子の家の小作人の娘でこうして遠く売られてきていたのだ。奇遇であった。同じ牢獄で英子は千代をかばい、そして女の無力を知った。明治二二年憲法は発布された大赦によって重井たちは出獄した。重井は出獄と同時に第一回総選挙に立候補するため、自由民権運動の中心大阪へおもむいた。もちろん英子も、そして千代も一緒だった。こうして三人の生活は始められた…。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
田中絹代
水戸光子
小沢栄
菅井一郎
- スタッフ -
原案:野田高梧
監督:溝口健二
脚本:依田義賢
脚本:新藤兼人
撮影:杉山公平
音楽:伊藤宣二

配給:松竹
©1949松竹株式会社

ジャンル:現代劇