INTRODUCTION
上映時間・99分　大船作品
原作は吉屋信子の毎日新聞所載「新しき日」より田中澄江が脚色、大庭秀雄の監督したもの。撮影は斎藤毅。主な出演者は、若原雅夫、笠智衆、多々良純、文谷千代子、月丘夢路、香川京子、三橋達也、東山千栄子、野添ひとみなど。

STORY
百貨店で香水を万引した少女佐伯ツル（野添ひとみ）は、少年審判所から聖泉教会の厚生寮へ引き取られた。牧師槙伊之吉（若原雅夫）は先代牧師に認められてその女婿となった人物で、その政治的手腕で知られていた。妻まさよ（月丘夢路）は長い病床にあり、一子正夫（香川良久）と転地生活をしていた。藤川もと子（香川京子）は槙の人格に惹きつけられその助手として厚生寮の仕事に献身、求婚者橋爪透（三橋達也）との結婚も、父が薦めるほどに気のりしなかった。妻と離れて暮らす伊之吉は、いつしか若々しいもと子の姿に心をひかれていたが、まさよは女の敏感さでそれを悟り、夫に自分の死後もと子と結ばれることを暗示するのだった。伊之吉はそれを否定しながらまさよの口からもと子にそれを言わせることを考えた。と同時にもと子には透との結婚を薦めながら、その父には、無神論者の透ともと子との結婚がうまく行かぬことを説いた。厚生寮になじまぬ佐伯ツルを連れてもと子は小羊園を手伝いに行っていたが、そこで火事に逢いツルは子供を救い出そうとして焼死した。そのツルの死を早速教会の宣伝に使おうとする伊之吉のやり方にもと子ははじめて割り切れぬものにつき当った。しかも、死の床のまさよから自分の代わりになってくれと頼まれるが、それも伊之吉の眼に見えぬ策謀があったことを悟った。もと子は教会を去った。伊之吉は死後のまさよの日記から切々たる妻の愛情の苦しみを読んで、自分が知らずにもと子を求め、心に姦淫の罪を犯していたことを悟った。

- キャスト -
若原雅夫
月丘夢路
笠智衆
香川京子
東山千栄子
- スタッフ -
原作：吉屋信子
監督：大庭秀雄
脚色：田中澄江
撮影：斎藤毅
音楽：奥村一

配給：松竹
Ⓒ1953松竹株式会社

ジャンル：現代劇