INTRODUCTION
上映時間・93分　大船作品
東京タイムズ連載の中野実の小説を椎名利夫が脚色し、堀内真直、西川亨が監督、撮影に当たった。音楽は万城目正。高橋貞二、大坂志郎、水原真知子、須賀不二男、藤乃高子らの他、堀内監督との係わりで佐田啓二が特別出演。

STORY
弁天横丁とよばれる山手線沿いの汚い町にある兼吉（小林十九二）の二階に、宏（高橋貞二）と麻理（藤乃高子）の新婚夫婦が住んでいる。宏はラジオの文芸部員、麻理は日本電建の契約係という共稼ぎ。彼女は先輩大岡（高橋トヨ）から画家三田（須賀不二男）がアトリエを建てると聞いて訪れた。そこで彼女は三田の描いた美人画が、戦死した麻理の兄泰夫の妻鈴子（水原真知子）であることを知った。鈴子の父勝吉（坂本武）はチンドン屋だったが、みなし子の三田を引きとって鈴子と兄妹同様に育てたのである。三田も妻に死なれて幼い千恵子（五十嵐洋子）と淋しく暮らしていた。二人の愛情を知った麻理は結婚を勧めようとするが、父義秀（日守新一）は鈴子を次男春二（大坂志郎）の嫁にと考えていた。そこで麻理は春二と計って大岡を彼の俄か恋人に仕立てて父に断念させた。宏のラジオに出演の小唄師匠志津江（桜むつ子）が家を建てると聞いて麻理は契約に出かけたが、志津江が宏に岡惚れしているのを知って面白くない。鈴子と三田の結婚には、昔気質の勝吉が反対する。麻理と宏は志津江の事から争い、彼女は実家に帰ってしまい、義秀は立腹して娘を離婚させると言う。そこで心配した鈴子と大岡が芝居をうち、麻理の狂言自殺を仕組み、驚いてかけつけた宏の腕に抱かれる。これに味をしめた麻理は鈴子の狂言自殺を計画し、これが見事成功して勝吉も義秀も鈴子と三田の再婚に賛成することになった。

- キャスト -
高橋貞二
藤乃高子
大坂志郎
水原真知子
沢村貞子
- スタッフ -
原作：中野実
監督：堀内真直
脚色：椎名利夫
撮影：西川亨
音楽：万城目正

配給：松竹
Ⓒ1953松竹株式会社

ジャンル：現代劇