映画・アニメの世界

【作品データベース】早春 そうしゅん

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・144分
通勤電車で顔なじみの丸の内勤めの男女が織りなす哀歓に満ちた人間模様。一児を亡くしてから妻との関係に隙間風が吹く杉山(池辺良)とそんな彼を愛する現代娘(岸惠子)の不倫を主軸に、戦後10年が過ぎたころのサラリーマンや若者の心情を、小津安二郎監督は活写している。

STORY
杉山正二(池部良)は蒲田から丸ビルの会杜に通勤しているサラリーマンである。結婚後八年、細君昌子(淡島千景)との仲は倦怠期である。毎朝同じ電車に乗り合わせることから、いつとはなく親しくなった通勤仲間の青木(高橋貞二)、辻(諸角啓二郎)、田村(宮口精二)、野村(田中春男)、それに女ではキンギョという綽名の金子千代(岸惠子)など。退社後は麻雀やパチンコにふけるのがこのごろでは日課のようになっていた。細君の昌子は毎日の単調をまぎらすため、荏原中延の実家に帰り、小さなおでん屋をやっている母のしげ(浦辺粂子)を相手に、愚痴の一つもこぼしたくなる。さて、通勤グループとある日曜日江ノ島へハイキングに出かけたその日から、杉山と千代の仲が急速に親しみを増した。そして杉山は千代の誘惑に勝てず、ある夜、初めて家をあけた。それが仲間に知れて、千代は吊し上げを食った。その模様を千代は杉山の胸に縋って訴えるが、杉山はもてあますだけであった。良人と千代の秘密を、見破った昌子は、家を出た。その日、杉山は会社で、同僚三浦(増田順二)の死を聞かされた。サラリーマンの生活に心から希望をかけている男だっただけに、彼の死は杉山に暗い後味を残さずにはいなかった。仕事の面でも家庭生活の上でも、杉山はこの機会に立ち直りたいと思った。丁度、地方工場への転勤の話も出ていることだし、千代との関係も清算して田舎へ行くのも、一つの方法かも知れない。一方、昌子は家を出て以来、旧友の婦人記者富永栄(中北千枝子)のアパートに同居して、杉山からの電話にさえ出ようとしなかった…。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
池部良
岸惠子
淡島千景
杉村春子
高橋貞二
田浦正巳
- スタッフ -
監督:小津安二郎
脚本:野田高梧
脚本:小津安二郎
撮影:厚田雄春
音楽:斎藤高順

配給:松竹
©1956松竹株式会社

ジャンル:現代劇