INTRODUCTION
上映時間・82分　大船作品
雑誌「新婚人」連載の佐多稲子の小説「智恵の輪」を、木下惠介が脚色し、川頭義郎が監督、楠田浩之が撮影を担当した。主な主演者は田浦正巳、野添ひとみ、小沢栄、桂木洋子、夏川静江、荒木道子、東山千栄子など。

STORY
菊地家は祖母（東山千栄子）と母（夏川静江）と一人息子の三人暮らし。母の久子はデパートの婦人服加工部に勤めていた。来春の卒業を前に控えて進（田浦正巳）にはすでに就職も決まっていたが、彼は恋人の女子大生久保田佳代子（野添ひとみ）のことを考えると落ち着けなかった。二人とも長男長女で結婚が簡単に考えられなかったからである。両親を福島にもつ佳代子には、東京にある会社の課長をしている叔父（小沢栄）がいた。ある日、佳代子はその叔父が同じ会社の事務員藤木奈津子（桂木洋子）と特殊な関係にあるのを知った。叔母の前で平静を装う叔父の態度は佳代子には理解し難い世界であった。佳代子は奈津子を知るようになり、進にも紹介した。進の奈津子を見る眼の中にも不純な大人の世界に対する抗議があった。その頃、母の久子が歳末の過労から突然デパートで倒れた。進は狼狽して近郊の療養所に相談に行き、そこで奈津子に会った。奈津子の弟もそこで長期療養を続けていたのである。弟のために青春を犠牲にしている奈津子の姿に進は謝りたい気持ちをもった。一方、奈津子もまた若い二人に接しているうちに自分の不自然な生活を恥じるようになった。折しも奈津子の弟が死んだ。彼女は佳代子の叔父早川との関係を清算した。新年を迎え、久子は快方に向かった。帰省していた佳代子も上京して見舞いに来た。正月の台所で祖母と加代子の明るい笑い声を、進は母とともに快くきいた。数日後、佳代子の両親が叔父夫妻の家に上京して来た。

- キャスト -
野添ひとみ
田浦正巳
東山千栄子
桂木洋子
小沢栄
- スタッフ -
原作：佐多稲子
監督：川頭義郎
脚色：木下惠介
撮影：楠田浩之
音楽：木下忠司

配給：松竹
Ⓒ1956松竹株式会社

ジャンル：現代劇