伝七捕物帳・女狐駕籠

公開日：1956年6月1日（金）

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・107分　京都作品
陣出達朗原作による“伝七捕物帖”シリーズの一篇。安田重夫が岸生朗と共同脚色、福田晴一が監督、片岡清が撮影を担当した。主な出演者は高田浩吉、草笛光子、伴淳三郎、関千恵子、伊吹友木子など。

STORY
江戸の夜。札差し山城屋に現われた無気味な女駕篭から顔をのぞかせた美女は、主人重兵衛（荒木忍）に二十年前に貸してある命を貰いに来たと告げて立ち去った。同じ夜丸井屋源兵衛（寺島貢）も女駕篭の訪問を受け、更に目明し黒門町伝七（高田浩吉）の子分獅子っ鼻の竹（伴淳三郎）の隣に住む万兵衛（光妙寺三郎）は何者かに殺害された。目明し早縄の五兵衛（山路義人）は万兵衛殺しを現場の状況から狐の仕業と断定したが、畳の足跡に気づいた伝七は信用せず、翌日、山城屋を訪ねた。折から山城屋の奥座敷では重兵衛と源兵衛が密議を凝らしていた。二人は二十年前、殺された万兵衛と共に回船問屋松浦屋清左衛門（乃木年雄）の供をして江戸に向かう途中、主人を殺して大金を奪い現在の身分となったもので、裏を返せば抜荷買いの元締だった。重兵衛たちに追い帰された伝七は、万兵衛殺しの現場で拾った異様な品が蘭法医玄斎（近衛十四郎）の鑑定で禁制の噛み莨と知る。一方、人気女形中村滝之丞と逢引する山城屋の娘お美津（伊吹友木子）をねたましげに見詰める姐御お政（関千恵子）の跡をつけたところ、山城屋の別宅に行き着き、また大川で釣をしている玄斎の不審な挙動を見た伝七は、狐ノイローゼにとりつかれた山城屋番頭茂三郎（花菱アチヤコ）の告白から松浦屋事件のいきさつを知り数日後、中村座の岡っ引演芸会で重兵衛たちに、松浦屋殺しの芝居を見せた。だが丸井屋はその場で何者かに毒殺された。女房お俊（草笛光子）や竹の努力にも拘らず解決の糸口を掴めぬ伝七は、ある夜、無人に見えた小舟が黒衣裳の船頭の漕ぐ舟と判ったことから真犯人は芝居者と知った…。