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【作品データベース】壁あつき部屋 かべあつきへや

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・110分
巣鴨拘置所に服役中のBC級戦犯の手記「壁あつき部屋」の映画化で、新鋭プロ第一回作品。脚色には芥川賞受賞作家阿部公房が当り、小林正樹が監督している。終戦後の巣鴨プリズンに収監されていた囚人たち中に、いわれのない理由で戦犯の刻印を押された6人の男たちがいた。ある日、その一人である山下は、面会に来た妹から戦争時の上官であり、山下に殺しを強要した浜田が実家に嫌がらせをしていることを知り、脱走を企てるも失敗。やがて母が死に、1日だけ出所が許された彼は故郷へ向かう…。戦争犠牲者の実際の手記を下地に作られた、社会派作品。

STORY
巣鴨拘置所、そこには文明と平和の名において裁かれた戦犯達が服役している。その一人山下(浜田寅彦)は、戦時中南方で上官浜田(小沢栄太郎)の命令で一人の土民を殺したのだが、その浜田の密告で重労働終身刑の判決を受けた。また横田(三島耕)は戦時中米俘虜収容所の通訳だっただけで巣鴨に入れられた。しかも戦時中、横田がたった一人人間らしい少女だと思った優しいヨシ子(岸惠子)は、今では渋谷の特飲街に働く女である。朝鮮人の許(伊藤雄之助)も、神経質な山下もこうして戦犯の刻印をおされた犠牲者の一人にすぎなかった。脱出に失敗した山下はその直後母の死を知った。時限をきめて出所を許された山下は、浜田が女手の山下の家を今まで迫害し続けていた事を知ると一切の怒りがムラムラとこみあげてきた。しかし恐怖に歪んだ浜田の表情を見た山下は、殺す気もしなくなった。たった一人の妹は、「これからどうする?」という山下の問いに、「生きて行くわ」とポツリと答えた。再び横田達に迎えられて、拘置所の門をくぐる山下、そしてそこには、再びあつい壁だけが待っていた。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
浜田寅彦
三島耕
信欣三
三井弘次
伊藤雄之助
岸惠子
小林トシ子
- スタッフ -
原作:BC級戦犯の手記より
監督:小林正樹
脚色:安部公房
撮影:楠田浩之
音楽:木下忠司

配給:松竹
©1956松竹株式会社

ジャンル:現代劇