この女に手を出すな

公開日：1956年12月12日（水）

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・81分　京都作品
「小説春秋」所載藤原審爾原作の「燃ゆる海」より、沢村勉が脚色、酒井辰雄が監督する現代活劇篇。撮影は竹野治夫が担当する。主な出演者は高橋貞二、高野真二、瑳峨三智子、山鳩くるみ、ほかに龍崎一郎、幾野道子、伊沢一郎、永田光男など。

STORY
密輸船の船員吉岡鉄（高橋貞二）は、背を刺された上漂流していた森谷源二郎（富本民平）を救う。麻薬密輸で巨財を貯えていた森谷は、横浜にいる弟分藤井重明（龍崎一郎）から全財産を一人娘の伊勢子（山鳩くるみ）に譲れと伝言を依頼し、自分の宿に隠してある黒真珠を報酬に与えると遺言し絶命する。警察の手入れで四年の刑を終えた鉄は、出所して黒真珠を入手の上、約束を果たそうと、かつての源二郎の情婦礼子（草島競子）を訪れた上、源二郎事件を過失死と扱った大原弁護士（永田光男）に再調査を頼み、伊勢子のいる瀬戸内の大鳥市へ向かう。当地で、鉄は伊勢子が寄偶する顔利きの浜田重明（中田耕二）を訪れ真相を告げる。しかし折を見て話すという浜田の希望を容れ、彼が経営するホテルに泊まる。その夜、女の呼び出しで指定のバーへ赴くがそれらしき女はおらず、与太者風の健（高野真二）から命が危ないと脅かされる。翌日、祭の雑踏で与太者に襲われた鉄は、バーのマダムで大鳥宣伝社社長土屋（伊沢一郎）の情婦ナギ（瑳峨三智子）に救われ、互いに心惹かれてゆく。当地に来た大原の様子から、浜田と藤井は同人物と疑う鉄は、伊勢子に話すが不審がるだけ。だが鰹船から健が麻薬を浜田の情婦早苗（幾野道子）の許へ運んだことを知り、健を詰問し乱闘となるが、いつか親しみを感じ合い出す。腕を買われ宣伝社に入れられた鉄は、機をみて伊勢子に真実を告げる。一方、土屋はナギと健に鉄殺害を厳命。伊勢子の突然の訪問で正体のバレた浜田は、秘密を知る早苗を殺害するが麻薬手入れの警官隊に追われ、伊勢子を人質にホテルへ潜む。