映画・アニメの世界

【作品データベース】正義派 せいぎは

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・91分
志賀直哉原作の「正義派」と「清兵衛とひょうたん」をもとに、渋谷実が監督した意欲作。しがないバスの運転手・藤田は、ある日過って人をはねてしまう。バスに乗り合わせていた藤田の後輩は、藤田の過失だと証言する。渋谷実はドライな演出に徹し、志賀直哉の文体を再現した。ラストの清兵衛が川に投げ捨てるひょうたんが、プカプカと浮きながら流れていくシーンが印象的。

STORY
東京の下町に住むお京婆さん(三好栄子)は、終戦この方、闇屋をしながら、東南バス修理工の一人息子清太郎(田浦正巳)の将来を楽しみにしている。頑固だが仲々の人情家。清太郎の先輩で同じ会社の運転手藤田(佐田啓二)に、安アパートを世話したりする。藤田は親の許さぬ恋人葉子(久我美子)と内縁の結婚をしていたが、彼女が病気がちのため勤めはおろそかになり、同業の友人青木(三井弘次)の心配にも拘らず操車監督香川(伊藤雄之助)に睨まれていた。お京と幼年からの喧嘩仲間お春(望月優子)と娘町子(野添ひとみ)の一膳飯屋“よし野”。清太郎と町子は幼馴染の上、互に惹かれているが二人共生来の意地っ張り、加えて同居の証券会社勤めで香川の親戚高岡(山内明)が町子に色目を使っていた。この頃、藤田の父君平太(松元克平)上京の知らせ。お京は同情していくらか貸してやるが、君平太は息子と葉子の別れ話で来たとあれば持前の侠気で葉子を励ます。あれやこれやで腐った藤田は深酒の翌日、二日酔で運転中、女の子を轢いてしまい早速、警察へ出頭。状況説明の証人は丁度同乗していた清太郎であるが、彼は正義感から、香川の入智恵をよそに藤田の過失と言いきる。しかし帰社してみれば青木や同僚の冷たい視線。一度はバカ正直と息子をなじったお京も、正しいことはどこ迄も、と香川らの前で啖呵まできるが、折悪く先日銭湯で猫ババした南京虫の件で連行。町子も近く転勤する高岡と福島へ行ってしまうと聞き、ヤケになった清太郎は父親ゆずりで秘蔵のヒョータンを片っ端から割る始末…。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
佐田啓二
田浦正巳
久我美子
望月優子
野添ひとみ
三好栄子
伊藤雄之助
- スタッフ -
原作:志賀直哉
監督:渋谷実
脚色:斎藤良輔
脚色:馬場当
撮影:長岡博之
音楽:池田正義

配給:松竹
©1957松竹株式会社

ジャンル:現代劇