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【作品データベース】挽歌 ばんか

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・127分
原田康子のベストセラー小説「挽歌」を由起しげ子、八住利雄が共同脚色、これで監督作品80本目となる五所平之助が原作に忠実に撮り上げたラブ・ロマンス。関節炎を患って以来、空虚な日々を過ごす怜子は中年の建築技師・桂木と知り合い、少しずつ心をほぐしていく…。北海道の自然をバックに、適役の久我美子が美しい。

STORY
北海道、最果ての港釧路。霧の深いその街を、兵頭怜子(久我美子)は右手で関節炎を患って以来硬直してしまった左肘を抱え、ゆっくりと歩いている。父(斎藤達雄)は、そういう娘を不憫に思って何回となく縁談をもってくるが耳を傾けない。その孤独な怜子の唯一の救いは、アマチュア劇団みみずく座の美術部員としての仕事である。幼馴染の久田幹夫(石浜朗)も同じ部員で、お互いに心の通じ合うのを感じているが、怜子の心の空虚は、彼によっても満たされはしない。怜子は、ふとしたことで、中年の建築技師桂木節夫(森雅之)と知るようになった。桂木の眼差の中に感じられる「ある空しさ」が、彼女の心を惹きつけたのであろうか。そして、怜子はある日、桂木夫人あき子(高峰三枝子)が、達巳(渡辺文雄)という青年と桂木家の近くの道端で抱擁しているのをみて、桂木の「空しさ」の原因を突きとめたような気がした。「大人の傷口にふれること」の興味が、怜子を積極的に桂木に近づかせた。その好奇心は、やがて桂木への激しい慕情に変わって行った。そしてある日、桂木に誘われて阿寒国立公園へ出かけた怜子は、そこで初めて夜を共にした。桂木が孤独なのは、妻の秘密を知っているゆえだと語った怜子は、「お願い!今だけでいいの、私のことだけ愛して!」と泣き叫んで、桂木の胸に崩れて行った。帰宅してから、桂木からの電話にも出ないで床に臥す数日が過ぎたが、桂木が札幌へ出張したあと、怜子はあき子夫人に絵のモデルを頼み、幹夫と二人でたびたび桂木宅を訪れた。やさしい夫人の微笑は、母の愛に飢えた怜子の心をとらえ、怜子は罪の意識におびえるが、桂木への愛情はいやまさり、札幌の桂木のもとへ走らずにはいられなかった。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
久我美子
森雅之
高峰三枝子
石浜朗
- スタッフ -
原作:原田康子
監督:五所平之助
脚色:八住利雄
脚色:由紀しげ子
撮影:瀬川順一
音楽:芥川也寸志

配給:松竹
©1957松竹株式会社

ジャンル:現代劇