集金旅行

公開日：1957年10月29日（火）

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・103分
井伏鱒二の同名小説の映画化で、西日本のローカル・カラーを取入れて庶民生活の哀歓を描いたコメディ。椎名利夫が脚色、の中村登が監督した。異なった目的を持つ二人の男女が繰り広げる珍道中もの。お互いに喧嘩しながらも、次第に恋仲になっていく過程をローカルカラーを巧みに取り入れ、ユーモアを交えながら描き出す。1979年、桃井かおりと渡瀬恒彦主演で『神様のくれた赤ん坊』の題名でリメイクされている。

STORY
日曜日、望岳荘アパートでは止宿人達が寄りつどって相談の最中だった。それというのも、主人仙造（中村是好）がかみさんに逃げられてやけ酒をあおりブッ倒れ、そのままあの世へ行ってしまったからである。抵当に入ったアパートと、残された子供の勇太（五月女殊久）をどうしようか。結局、部屋代をためて逃げた連中から金を集めて廻ることになりその役目は旗（佐田啓二）に決った。行き先は中国、四国。小松千代（岡田茉莉子）も一緒に行くことになった。その方面には慰謝料をとる相手が多勢いるから、かき集めて勇太に一部を寄附するというのだ。勇太を連れた二人は岩国、山口から萩へと廻った。萩で千代は婦人科医の箕屋（トニー谷）と見合いをする羽目になった。箕屋は千代の美貌に大乗気となり後をつけてくる始末。その箕屋を漸くまいた一行は、勇太の母と駈落ちした学生克三（北原隆）の家がある瀬戸田へ着いた。彼は胸の病で寝ており、勇太の母の浜子（小林トシ子）も勇太に会おうとしなかった。二人は兄の築水（西村晃）に勇太を引きとって育てると誓わせた。これで旅行の目的は果したのだが、徳島に千代の処女を奪った憎い男がいるというので、助太刀がてら旗も同行することになった。町はちょうど阿波踊で大賑わい。旗は目指す順十郎（花菱アチヤコ）の家に乗り込んで凄んだが、かえって恐喝の疑いで留置場へぶち込まれてしまう…。