映画・アニメの世界

【作品データベース】張込み はりこみ

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・116分
松本清張原作・橋本忍脚色・野村芳太郎監督という名トリオによる社会派推理ドラマの代表作。東京で起きたピストル強盗殺人犯が会いに行くと見られる佐賀市に住む愛人は、年長の銀行員の後妻となって細々と暮らしている。東京から派遣された二人の刑事は、安宿の2階で張り込みを始める……。冒頭、横浜駅から九州行きの列車にあわただしく乗り込む二人の刑事の緊迫した描写から1週間にわたる張り込み、そして犯人逮捕まで橋本忍の脚本は一分の隙もない。野村芳太郎の演出はロケーション効果をいかしたセミドキュメンタリー・タッチを駆使し、人間描写にも確かな腕を見せ、この種の推理ドラマの一つの到達点を示した。

STORY
警視庁捜査第一課の下岡(宮口精二)と柚木(大木実)は、質屋殺しの共犯・石井(田村高廣)を追って佐賀へ発った。主犯の自供によると、石井は犯行に使用した拳銃を持っており、三年前上京の時別れた女さだ子(高峰秀子)に会いたがっていた。さだ子は今は佐賀の銀行員横川(松本克平)の後妻になっていた。石井の立寄った形跡はまだなかった。両刑事はその家の前の木賃宿然とした旅館で張込みを開始した。さだ子はもの静かな女で、熱烈な恋愛の経験があるとは見えなかった。ただ、二十以上も年の違う夫を持ち、不幸そうだった。猛暑の中で昼夜の別なく張込みが続けられた。三日目。四日目。だが石井は現れなかった。柚木には肉体関係までありながら結婚に踏みきれずにいる弓子(高千穂ひづる)という女がいた。近頃二人の間は曖昧だった。柚木には下岡の妻(菅井きん)の口ききで、風呂屋の娘との条件の良い結婚話が持ち上がり、弓子の方には両親の問題があったからだ。一週間目。柚木が一人で見張っていた時、突然さだ子が裏口から外出した。あちこち探した末、やっと柚木は温泉場の森の中でさだ子と石井が楽しげに話し合っているのを発見した。彼が応援を待っていると、二人はいなくなった。再び探し当てた時、さだ子は石井を難きつしていた。だが彼女は終いには彼に愛を誓い、彼と行動を共にするといった。しかし下岡刑事が到着し、石井はその温泉宿で逮捕された…。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
大木実
高峰秀子
田村高廣
宮口精二
高千穂ひづる
- スタッフ -
原作:松本清張
監督:野村芳太郎
脚色:橋本忍
撮影:井上晴二
音楽:黛敏郎

配給:松竹
©1958松竹株式会社

ジャンル:現代劇