清水の佐太郎

公開日：1958年4月29日（火）

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・90分　京都作品
陣出達朗の原作を渡辺哲二と岸生朗が脚色し、酒井辰雄が監督、倉持友一が撮影した股旅篇。出演は高田浩吉、瑳峨三智子、北上弥太朗、木暮実千代、富士真奈美、など。

STORY
年に一度の港祭りを迎えながら、ここ清水港は火の消えたように活気がない。なぜなら次郎長（近衛十四郎）が黒駒の勝蔵を倒すべく二十八人衆を連れて旅に出たのを幸い、駿府新徴組の浪人たちが非行をほしいままにしているからだった。そのお先棒をかついでいるのが、次郎長の女房お蝶（木暮実千代）の心配もよそに乱行を続けている次郎長の養子長二郎（北上弥太朗）だった。今日も白刃を抜いて暴れ回る長二郎の腕をぐっと抑えたのは、旅鴉の佐太郎（高田浩吉）である。彼は清水一家へかけ合いに行ったが、留守を守るお蝶と長二郎を愛している下女お春（冨士真奈美）に動かされ、かえって力を貸すことを約束した。長二郎が浪人たちと仕返しすべく狙っていると聞いた佐太郎は、事を起こすのを嫌って旅芸人お千代（鮎川十糸子）一座に逃げこんだ。一座にいる美寿弥（伊吹友木子）は密書を持って江戸へ向う勤王公卿の娘鶴姫である。清水の縄張りを狙う保下田の久六は新徴組と手を握って一夜美寿弥をさらった。佐太郎も久六一派に囲まれたが、お照（瑳峨三智子）に救われた。お照は、佐太郎の腕と度胸に一目ぼれして女房にしてくれと迫る女やくざである。美寿弥の危急を知って佐太郎は救出に向い、彼女を助け出したものの、剣客藤川（小笠原省吾）のために足を踏みはずして断崖から落ちた。その佐太郎を救けたのはお春だった。一方久六一派の乱暴は傍若を極めた。お照は久六を刺すべくのりこんだが、逆に深傷を負い、それと知って駈けつけた佐太郎の腕に抱かれてこと切れた。その時、藤川が現われ佐太郎と再度の対決となった…。