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【作品データベース】妻の勲章つまのくんしょう

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・104分 京都作品
中山正男の原作を、菊島隆三と内川清一郎が脚色し、内川清一郎が監督した、夫婦愛を描いたドラマ。撮影は太田喜晴が担当。

STORY
幸田(高橋貞二)は鍛冶屋の息子に生れたが、ガソリンの臭いが好きでオートバイ作りにすべてを賭けていた。その頃新聞では、攻略戦に活躍する銀輪部隊のことを報じていたが、彼は足でこぐ自転車が機械化部隊と云えるものかと言って憲兵隊から睨まれたり、妻さつき(高千穂ひづる)が実家から持って来る白米をガソリンに変えたりする始末に、さつきは娘の夢子(四方正美)と実家へ帰ってしまった。一人取り残されて彼は、ガソリン嫌いのさつきがいつも離さなかった香水瓶をにぎりしめて、今更のように二人のいない寂莫を感じた。一方、実家のさつきも、折からの空襲中に夫の面影を思いお互いが愛し合っていることをさとり、夫のもとに帰った。そうして終戦。幸田は相変らずオートバイと取組んでいた。ある日、米兵が修理に持参したオートバイの優秀さにうちひしがれた。「もう一度初めからやり直しよ、今からでもおそくないわ」と、励ますさつきの言葉に工業学校へ入る決心をする。それから夫婦揃っての勉強が続いた。--三年後、もとの親方である山崎(多々良純)が廃品同様の六号無線機三百台を利用してオートバイを作ろうと話を持ちこんできた。エンジンはあっても、肝心のガソリン・タンクが三百個も手に入らないのだ。が、幸田は湯タンポをタンクの代りにすることを案出した。モーターバイクA型一号、二号と次々に完成され、昭和三十年に幸田技研工業株式会社が成立された。世界オートバイ耐久レースに、イギリス、イタリア、アメリカに混じってさつき号が出場、見事に優勝する。幸田は小型エンジン発見に力を尽したことで、藍綬褒章を贈られることになった。その頃、病院ではさつきが病床にいた。彼女は医者から癌と言われながら、自分の病状を隠して夫を晴れの受賞式に送り出した。勲章を押し戴いた幸田を待ちうけていたのは妻の死だった。思えば夫と妻の長い幾歳月であった。「お母さんを殺したのはお父さんだ。嫌いなガソリンのにおいばかりかがせて--さつき、みてくれ、頂いた勲章お前の勲章だ--妻の勲章だ。」彼はそれを妻の胸におきその上から香水を振りかけてやった。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
高橋貞二
高千穂ひづる
桑野みゆき
伊藤雄之助
- スタッフ -
原作:中山正男
監督:内川清一郎
脚色:内川清一郎
脚色:菊島隆三
撮影:太田喜晴
音楽:大森盛太郎

配給:松竹
Ⓒ1959松竹株式会社

ジャンル:現代劇