INTRODUCTION
上映時間・82分　大船作品
高見順が婦人画報に連載した「花自ら教えあり」を映画化したもの。池田忠雄が脚色し、野崎正郎が監督した。撮影は森田俊保が担当。

STORY
貴美子（鰐淵晴子）は、ひとり身で箱根の旅館仙楽荘を経営するくに子（山田五十鈴）の一人娘だ。劇作家志水先生（笠智衆）が連れてきた若い仏文翻訳家波多野敬一（菅佐原英一）に、彼女はほのかな好意を抱いていた。そんな彼女を、亡き父の遠縁に当たるお加代（英百合子）の一人息子で、母子で旅館を手伝っている泰治（安井昌二）が淋しく見ていた。宮の下の旅館清風楼の息子勝則（小野良）との縁談も断わって、彼女は志水先生からの上京のさそいに応じることにした。上京した母娘は芝居見物をし、夜に入って貴美子は波多野と散歩した。仙楽荘に帰ると、番頭堀川（佐竹明夫）が女中のお咲（俵田裕子）を妊娠させるという事件が起こっていた。二人を旅館から出して、くに子は別れの餞別を与えた。貴美子は勝則が芸者の蝶子（福田公子）と深い関係をもっているのを知った。しばらくしてまた志水先生が波多野を連れてきて、貴美子は波多野との愛情を確かめることができた。それを、おり悪しく泰治が聞いていた。その日から泰治は家を出てしまった。かつて仙楽荘の女中で、今は兄の薬代のため小田原の料理屋にいる信子（鳳八千代）のもとで、泰治は酒にひたっていた。そんな彼を信子はせめた。一方貴美子は、二人の結婚の許しを得に帰った波多野の便りを待っていた。くに子もそのために彼の家にでかけた。しかし、波多野の母の言葉は冷たいものだった。最悪の場合には波多野と姿をかくしてもいいという母のはげましを後に、貴美子は上京して彼に会った。だが彼の言葉は、意外にも諦めに徹したものだった。うつろな気持で小田原駅におりたった貴美子は、そこで更にお金をかせぐため遠い所へ行く信子に会った。

- キャスト -
鰐淵晴子
山田五十鈴
安井昌二
菅佐原英一
笠智衆
- スタッフ -
原作：高見順
監督：野崎正郎
脚色：池田忠雄
撮影：森田俊保
音楽：加藤三雄

配給：松竹
Ⓒ1959松竹株式会社

ジャンル：現代劇