INTRODUCTION
上映時間・88分　大船作品
舟橋聖一の原作を斎藤良輔が脚色し、渋谷実が一年ぶりに監督した文芸映画。撮影は長岡博之が担当している。土建会社の二号役の岡田茉莉子と、常務の秘書を扮する津川雅彦が、上州の山の中で心中する展開で、追いつめられた人間像を適確に表現した佳作となった。

STORY
土建会社三島組の常務・室岡（三上真一郎）の妻はる子の告別式。室岡は会葬者に挨拶もできぬほど忙しい。息子の浩一（三上真一郎）が公務執行妨害で留置されたり、二号の園子（岡田茉莉子）が電話で別れ話を持ち出したりする始末なのだ。室岡は園子をまるめこみ、彼女を浩一の伯母に仕立てて浩一を貰い下げに行かせた。浩一は出るとたちまち姿を消した。園子は室岡の秘書・森野（津川雅彦）を尋ねた。森野は室岡からの手当を渡そうとして封筒を間違え、室岡にもう一人トミ子（京塚昌子）という女がいることを感づかれた。園子は怒って田舎へ帰った。父の吾平（菅井一郎）は入れ違いに上京して、室岡を訪れ金をせびっていたのだ。園子が帰ると、まみ江（芳村真理）が引っ越して来ていた。彼女は園子の留守を引き受けていた学生だが、ずるずる住みこもうという魂胆だった。まみ江はやって来た森野に一目惚れしてしまった。浩一が来た。親父が寝こんでいるから見舞いに来いという。家の閾が高いので、園子を雷親父の防禦物にしようと考えたのだ。園子を室岡の寝室に追いやると、浩一はまみ江をくどいた。ある日森野が園子の許を訪れると、まみ江しかいなかった。まみ江はビールを飲ましてくどいた。やっとで森野は逃げ出すと、表で浩一とぶつかった。浩一は嫉妬にかられナイフを出した。二人は揉み合い、森野が立ち上ると彼の手にナイフがあった。浩一はうめき声を立てた。追いつめられた森野と、室岡や吾平から逃れたいと思う園子は、相携えて森野の田舎である上州の山の中へ逃げた…。

- キャスト -
岡田茉莉子
津川雅彦
三上真一郎
芳村真理
加東大介
- スタッフ -
原作：舟橋聖一
監督：渋谷実
脚色：斎藤良輔
撮影：長岡博之
音楽：黛敏郎

配給：松竹
Ⓒ1959松竹株式会社

ジャンル：現代劇