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【作品データベース】人間の條件 第三部望郷篇、第四部戦雲篇 にんげんのじょうけん だいさんぶぼうきょうへん、だいよんぶせんうんへん

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・181分
前作の大ヒットを受けての大河シリーズ第2弾。今回はにんじんくらぶと松竹の合同ユニット“人間プロ”の製作で、軍隊の非人道的仕打ちの数々にスポットを当てながら、過酷な運命に翻弄されながらも決して己を捨てることのない梶の不屈の信念が描かれていく。ちなみに大船撮影所に入所してすぐに応召され、満州にて幹部候補生試験を受けさせられた小林は、面接官から映画の仕事を非難されて抗弁したことで不合格となり、二度と将校にはなるまいと誓いつつ、国境警備の任に就きながらシナリオを書き続けたという。戦後、五味川純平の小説「人間の條件」を読んで、自分の戦争体験を広い視野で捉え直すきっかけとなったという小林の想いは、特にこの『第三部&第四部』に反映されている。

STORY
◇第三部--厳寒の北満。関東軍の一部隊では、梶(仲代達矢)たち初年兵が連日厳しい訓練を受けていた。板内(植村謙二郎)と吉田(南道郎)の上等兵は、なにかというと初年兵を殴った。美千子(新珠三千代)から、中隊長に、特殊工人斬首事件での梶の無罪を訴える手紙が来た。が、かえってそれは梶を不利な立場に追いこんだ。新城一等兵(佐藤慶)もにらまれていた。彼の兄が思想犯であったからだ。梶と新城は親しくなった。美千子が、老虎嶺から三十キロの道をやって来た。その夜、美千子は消燈ラッパを梶の胸の中で聞いた。行軍が行われ、梶の属する第三班からは、小原(田中邦衛)と佐々(桂小金治)の二人の落伍者を出した。小原は、女郎の客引の真似を吉田から強制され、その後便所の中で自らの命を絶った。部隊は、ソ満国境に近い湿地帯に移動した。新城は板内と夜間動哨に出、板内が満人を射殺したため、新城は営倉入りを命ぜられた。その時、野火が起った。この騒ぎを見て、新城は脱走した。吉田がその後を追った。これを見てさらに梶が追った。梶と吉田は組み合い、二人は泥水の中にはまりこんだ。梶の耳には、戦友の呼ぶ声がかすかに聞えた--。◇第四部--梶が意識を取り戻したところは病院だった。吉田は病院に運ばれてから死んだ。やがて梶は、ソ連の山々を前方にひかえる国境線の青雲台地へ行った。そこで、梶は影山に再会した。彼は少尉に進級していた。梶は上等兵になった。彼が受持った初年兵の中には、二十歳そこそこの寺田二等兵(川津祐介)がいて、軍人の家庭で育った寺田は梶の言動に反抗した。梶はあい変らず古兵といざこざを演じ、これを心配した影山の計いで、土肥作業中隊に配属された。間もなく、青葉陣地は玉砕し、影山(佐田啓二)は戦死した。梶は前線に戻った。終日、台地に戦車壕を掘った。ソ連軍の戦車群が近づいた。迫る戦車に、梶は半身をのばして寺田を自分の穴にひきずりこんだ。一瞬、その背にキャタピラが地響いて通りすぎた。やがて、死んだ暗闇になった。「生きている者は出て来い、負傷者は助けてやる。答がなければ捨ててゆくぞ」と梶は叫んだ。答はなかった。梶は戦友を求めて暗闇の中へ消えて行った。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
仲代達矢
新珠三千代
佐田啓二
多々良純
南道郎
- スタッフ -
原作:五味川純平
監督:小林正樹
脚色:松山善三
脚色:小林正樹
撮影:宮島義勇
音楽:木下忠司

配給:松竹
©1959松竹株式会社

ジャンル:現代劇