映画・アニメの世界

【作品データベース】女の坂 おんなのさか

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・107分
沢野久雄の「五条坂」「愛する権利」を、『路傍の石(1960)』の新藤兼人が脚色し、『女経』の吉村公三郎が監督した京女もの。撮影は『人間の条件 完結篇』の宮島義男。岡田茉莉子、佐田啓二主演で、岡田の好演が注目された。ポスターコピーは、「美わしき都、京の中に鮮やかに浮彫にする女ごころの綾!」。

STORY
京銘菓の老舗「鍵村」は当主が亡くなり、血族の津川明恵(岡田茉莉子)が女相続人として乗りこんできた。明恵は箱根で育った発溂とした娘で、京都へ来るまでは「鍵村」の家を改造して洋裁店を開く考えだった。しかし、「鍵村」の家に落ちつき、古くから働いていた谷次(富本民平)が、「鍵村」自慢の京時雨をつくる姿を見ると、その美しさに惹かれた。明恵は京時雨をつくっていく決心をした。親類で同業の、今まで「鍵村」の面倒を見て来た「藤膳」が、なにかにつけて明恵に辛くあたった。彼女の周囲に、同じ年頃の由美(河内桃子)と千穂(高千穂ひづる)という女性がいた。由美は骨董商の娘で、洋裁学院に通っていた。彼女には市役所に勤める矢崎(西田智)という恋人がいた。千穂は陶芸家の娘である。彼女の父は芸術院を狙っていた。現在芸術院会員である人の息子修二(北上弥太朗)を養子とも内弟子ともつかずおいておきながら、芸術院の会員の父が死ぬと修二を冷遇した。由美が男の煮えきらぬ態度にあきたらず無理心中を遂げた。千穂は修二と結婚すると宣言した。明恵にも愛情を抱く人が現われた。かつての母の恋人である版画家・矢追三郎(佐田啓二)である。矢追は母の紹介で「鍵村」に泊り、舞妓の画を描いていた。明恵は急速に矢追に惹かれていく自分を感じた。だが、母と娘が女として対立した時に、明恵はこの恋を捨て、京時雨一つに打ちこんでいく決心をした。やがて、彼女も京女として育っていくのだった。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
岡田茉莉子
佐田啓二
河内桃子
高千穂ひづる
乙羽信子
北上弥太朗
- スタッフ -
原作:沢野久雄
監督:吉村公三郎
脚色:新藤兼人
撮影:宮島義勇
音楽:黛敏郎

配給:松竹
Ⓒ1960松竹株式会社

ジャンル:現代劇