悪人志願

公開日：1960年9月20日（火）

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・83分
ある地方の小都市の荒涼とした風物を背景にした、3人の男女の物語。田村孟・成田孝雄の脚本を、新人第1回の田村孟が監督した。田村監督は、昭和8年生まれ、東大文学部卒後、30年大船に入社した。撮影は舎川芳次。

STORY
ある地方の小都会。滝上ヒデ（炎加世子）は県会議員で、町のボス弥兵衛（三島雅夫）の長男と心中し、彼女だけが生き残った。息子を奪われた弥兵衛の一家は、娘の清子（月丘昌美）を除いてヒデを憎んだ。次男の竜夫（津川雅彦）は子分の勝（竹田公彦）、鉄（松崎慎二郎）らに命じてあらゆる妨害をし、ヒデを町から追い出そうとした。こんな町の飯場に警察の目を逃れきた殺人犯の川村安男（渡辺文雄）がヒデに案内されてきた。作業員のとびっちょ（毒蝮三太夫）、デカ（加藤武）、タア坊（田中晋二）、熊（北見治一）らは、安男の荷物をあけ、下着等をひっぱり出して着こみ、挨拶代りにと酒をたかる始末だった。ヒデは残飯をつんだリヤカーをひいての帰途、竜夫たちに残飯をひっくりかえされた。竜夫は野次馬の中に安男を見つけ、彼にヒデをひっぱたくように言った。安男は殴れなかった。竜夫は安男を殴って去った。ヒデは安男の傷の手当をしようとした。とびっちょがひやかしたので、安男は人混みの中に消えた。翌日、ヒデが安男に傷の具合を聞いていると、タア坊がラブシーンだと騒ぎたてた。作業員たちは逃げ出そうとする安男をヒデの方に突きとばした。安男は突然ヒデに平手打をくわせ、残飯をひっくりかえした。