映画・アニメの世界

【作品データベース】波の塔 なみのとう

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・98分
週刊「女性自身」に長期にわたり連載された松本清張原作による恋愛サスペンス。政治ブローカーの夫を持つ妻・頼子と青年検事・小野木は、偶然の出会いから恋仲に。そんなある日、小野木は担当する汚職事件の鍵を握る男が頼子の夫だと知る。

STORY
某省局長の娘田沢輪香子(桑野みゆき)は、旅行先の上諏訪で一人の青年に知りあい、帰京して友人佐々木和子(峯京子)と深大寺に出かけた時、美しい女性と同伴の彼に再会した。青年は小野木喬夫(津川雅彦)という東京地検の新任検事だった。連れの女性は結城頼子(有馬稲子)といい、小野木とは一昨年演舞場で知りあってから、逢瀬を重ねていた。小野木は頼子を輪香子たちに紹介しなかった。輪香子は二人の間になにか暗い秘密の影を感じた。頼子の夫結城(南原宏治)は政治ブローカーで、夫婦間は冷く、結城は家をあげることがしばしばだった。ある日、頼子と小野木は身延線の下部温泉へ旅行した。着くと間もなく台風に襲われ、帰りの中央線は不通、二人は東海道線に出るため山道を歩いた。二人は番小屋で一夜を明かした。そこで頼子は人妻であることを告白した。喬夫の心は変らなかった。小野木は某官庁の汚職事件の担当になった。所用で新潟へ出張して帰京する小野木を頼子は駅で迎えた。それを仲間吉岡が目撃し、結城に告げた。結城は妻の情事を察し下部まで調べに出かけた。一方、汚職事件の捜査も着着と進んでいた。輪香子は頼子のことが気になり、家に出入りする新聞記者辺見に調査を頼んだ。頼子は汚職事件の中心人物結城の妻で、父も関係していると聞き呆然とした。結城は妾宅で検挙された。家宅捜査のため小野木は結城邸へ向った。そこで頼子と小野木は対面した。二人の心は驚きと悲しみで一杯になった。結城の弁護士林(西村晃)は小野木と頼子の情事を調べ、司法界の長老を動かし事件の揉み消しにかかった。小野木は休職になった。彼は辞表を出し、頼子と二人だけの生活に入る決心をした。約束の夜、小野木が東京駅で待っている頃、頼子は新宿発の列車に乗っていた。結城と離婚して自由の身になることも頼子にはできた。が、それは破滅に通じることも知っていた。小野木との約束を破ることは彼女の最後の愛の表現だった。富士の裾野--黒い樹海の中に頼子の姿は、しだいしだいに吸いこまれていった。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
有馬稲子
津川雅彦
桑野みゆき
南原宏治
- スタッフ -
原作:松本清張
監督:中村登
脚色:沢村勉
撮影:平瀬静雄
音楽:鏑木創

配給:松竹
©1960松竹株式会社

ジャンル:現代劇