映画・アニメの世界

【作品データベース】雲がちぎれる時くもがちぎれるとき

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・93分
田宮虎彦の「赤い椿の花」を新藤兼人が脚色し、五所平之助が監督した文芸編。撮影は竹野治夫が担当している。四国の南端を走るバスの車掌に扮した倍賞千恵子が佐田啓二、有馬稲子を相手に庶民的で素直な演技を見せ、一躍スターの仲間入りをした。

STORY
四国の南端に近い、悪路で有名な菅多峠を、三崎(佐田啓二)が運転するバスが登って行く。彼は車掌の川口加江子(倍賞千恵子)と近く結婚することになっていた。そのバスの客の中に、三崎には忘れることのできない女性、市枝(有馬稲子)が乗っていた。三崎は子供の頃、両親を失い市枝の家に引き取られ世話になった。しかし、戦争は裕福な市枝の家にも相次ぐ不幸をもたらした。市枝は知人をたよって東京へ、三崎は地元の工場で働いた。戦争が終わった。三崎は市枝を探すため、トラックの運転手になり荒稼ぎをした。その頃、市枝は東京の小さな診療所の看護婦をしていた。そこで二世のキムラ(仲代達矢)と知りあい、二人は結ばれユリという子供を生んだ。間もなくキムラは朝鮮戦線で戦死、ユリも重い病気にかかった。しかたなく、市枝は夫の友人で二世の野本(渡辺文雄)に体を代償に助けを求めた。野本との生活も永くはなく、ユリを知人にあずけ、また看護婦になった。が、そこの医師は彼女の体に野望を持っていて、市枝は病院から逃げ出した。そこで偶然にも、彼女を探す三崎と再会した。タクシーの運転手になった三崎の献身的な好意も、暗い過去を持つ市枝には精神的に重荷だった。夢のような楽しい束の間の生活に終止符を打ち、市枝は三崎のもとを離れていってしまった。三年後、三崎は探しくたびれて、故郷の佐土浜に戻って来た。市枝の帰郷はユリの遺骨を埋葬するためだった。市枝の過去を聞いた三崎は驚いた。が、すべてを水に流して一緒になろうといった。しかしなぜか市枝は聞きいれなかった…。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
佐田啓二
仲代達矢
有馬稲子
倍賞千恵子
伊藤雄之助
- スタッフ -
原作:田宮虎彦
監督:五所平之助
脚色:新藤兼人
撮影:竹野治夫
音楽:芥川也寸志

配給:松竹
Ⓒ1961松竹株式会社

ジャンル:現代劇