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【作品データベース】喜劇・にっぽんのお婆あちゃんきげき・にっぽんのおばあちゃん

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・94分
水木洋子のオリジナル・シナリオを今井正が監督した社会喜劇。撮影は中尾駿一郎が担当している。日本の老人問題を社会的観点から扱っている。ポスターコピーは、「ズラリ揃ったスゴイ顔ぶれ! ダンゼン面白いおばあちゃん浅草珍道中!」

STORY
秋の陽ざしも弱々しい浅草仲見世。レコード屋の前で橋幸夫の「木曽節三度笠」を聴きながら、サト(ミヤコ蝶々)とくみ(北林谷栄)はすっかり意気投合。くみは工員を八十人も使っている製靴工場の御隠居だそうだし、サトの方も息子夫婦がポリエチレンの会社をやっていて、これまた全くの楽隠居だという。それにしてはくみの服装が粗末だし、サトの顔にも生気がない。焼鳥屋の店員昭子(十朱幸代)が楽しそうな二人に声をかけ、自分の店に案内する。ビールをあおって二人はご機嫌だ。やがて店を出たサトたちは、街角で化粧品のセールスマン田口(木村功)と知り合う。女房とのノロケ話に二人は過ぎし昔の結婚生活を思いうかべて涙ぐむ。夕ぐれ近く、二人は田口と別れた。その頃、郊外の老人ホーム福寿園では、福田園長(田村高廣)たちが蒼くなっていた。このホームのお婆さんがひとり、遺書まで残して失踪したからである。ゆうべ配給になったドラ焼が一個なくなり、無実の罪をきせられた彼女が腹いせに飛び出したのだと、元洋傘直し屋の兼井(伴淳三郎)がいう。園長は警察に電話をかけた。松屋デパートのネオンが隅田川の水面に映りははじめた頃、二人のおばあちゃんは吾妻橋のまん中にしゃがみ込んでいた。サトが、実は息子と嫁に邪魔にされて死場所を探しに家を出たと打ち明ければ、くみも「私もそろそろ世の中においとましようと思ってたのさ」と、意外なことをロ走った。老人ホームを飛び出したのは彼女なのだ。川を覗いてはドブ臭いからとあきらめ、都電では車輪が鉄で痛かろうと迷っていると、巡査(渥美清)につかまった。二人は親切な昭子を思い出して孫だといったため、焼鳥屋の寮に送られ「木曽節三度笠」のにわか講習で元気をとり戻す。が、再び巡査に会い、サトは“鬼の夫婦”が住む都営住宅へ、くみは老人ホームへ戻されてしまう。一夜明けて……朝から嫁と口論をはじめたサトはテレビのつまみをひねるうち、きのう別れたくみの大写しを見た。福寿園の中継放送である。その夜「わては友達のとこへ行くわ。あんたのとこには、もう厄介にならんでよろし」と、サトは啖呵をきって横になった。あしたにでも、くみをたずねて行くつもりか、風呂敷包みがひとつ、彼女の枕許においてあった。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
ミヤコ蝶々
北林谷栄
飯田蝶子
東山千栄子
三木のり平
渡辺文雄
渥美清
小沢昭一
木村功
田村高廣
伴淳三郎
- スタッフ -
原作:水木洋子
監督:今井正
脚本:水木洋子
撮影:中尾駿一郎
音楽:渡辺宙明

配給:松竹
Ⓒ1962松竹株式会社

ジャンル:現代劇