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【作品データベース】山河あり さんがあり

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・127分
久板栄二郎と松山善三が共同で脚本を執筆、松山善三が監督した夫婦の苦闘物語。大正7年、日本人移民団がハワイへと向かう船上。遠ざかる富士山を眺める夫婦は、農園の労働に従事する郷田久平への嫁入りのため乗船したすみに出会う。苛酷な労働に耐え20年、それぞれ2人の子供に恵まれ、安定した生活を手に入れる。一方の祖国 日本は満洲事変、日中戦争に突入し真珠湾奇襲へと向かう。2つの祖国を持つ人々の苦悩が描き、戦火のもとで引き裂かれた人々の切実な思いを追体験させる。



STORY
大正七年。日本人移民の一団がハワイへやって来た。その中には、井上義雄(田村高廣)ときしの(高峰秀子)夫婦やこれから嫁入りしようとする少女すみ(久我美子)がいた。ハワイの土は冷たく固く、帰ることも出来ない人々はただ黙々と亜熱帯の畑ととりくむのだった。そして十年、人々の努力は報いられ、井上は日本語学校の教師に、妻は小さな食料店主になっていた。またすみは郷田(小林桂樹)と結婚しクリーニング店を経営。今では、井上家には春男(早川保)と明(ミッキー・カーチス)、郷田家には一郎(石浜朗)とさくら(桑野みゆき)とそれぞれ子供があった。そしてまた七年--。さくらと明はハイスクールを卒業した。一方故国日本は、満州事変、日中戦争、国際連盟脱退と次第に戦争への道を歩いていた。この雲行きを心配する一世たちと反対に、二世の子供たちは一向に無関心だった。そんな時、井上は心臓麻痺であっけなく死んだ。きしのは、次男の明を伴なって夫の遺骨と共に日本へ向った。世界情勢はますます悪化し、昭和十六年、ついに日本海軍の真珠湾奇襲が行なわれた。日本で親せきの家に身をよせていたきしのたちは茫然とした。同じ頃ハワイでは、二世たちが、二世部隊として出陣した。母を日本軍に射殺された一郎、そしてさくらの恋人春男も志願し、四四二部隊として出動した。砲火のイタリア戦線で戦う春男と一郎。やがて戦争は末期症状をみせて来た。一方日本では、明がアメリカ人として収容所にとらわれていた。冷たい壁の中の生活に胸をやられた明は、物置の隅に住むきしののもとへ帰された。母子の寒さにふるえる生活は続き、やがて明はボロ切れのように死んでいった。そして戦争は終った。終戦を迎えた日本に進駐して来た一郎から、春男の死が知らされたのはそれから間もなくだった。二人の息子を失ったきしのの嘆きははかり知れなかった。明の墓の土を持って、きしのはハワイへ戻るのだった…。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
高峰秀子
桑野みゆき
石浜朗
ミッキー・カーチス
早川保
田村高廣
久我美子
小林桂樹
- スタッフ -
監督:松山善三
脚本:久板栄二郎
脚本:松山善三
撮影:楠田浩之
音楽:木下忠司

配給:松竹
©1962松竹株式会社

ジャンル:現代劇