映画・アニメの世界

【作品データベース】秋刀魚の味

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・113分
小津安二郎の遺作。小津作品の要素を多分に含んだ、小津映画の集大成ともいえる。男手一つで育てた娘を嫁に出す父の気持ち、嫁に行く当の娘の心情を細やかに描き出す。仲の良い初老の紳士たち、うらぶれ老いた恩師とその娘、父の海軍時代の部下、戦後的な兄夫婦など、主筋以外の点描も余裕に満ちて見事。

STORY
長男の幸一夫婦(佐田啓二、岡田茉莉子)は共稼ぎながら団地に住んで無事に暮らしていた。家には娘の路子(岩下志麻)と次男の和夫(三上真一郎)がいて、今のところ平山周平(笠智衆)にはこれという不平も不満もない。細君と死別して以来、今が一番幸せな時だといえるかもしれない。わけても中学時代から仲のよかった河合(中村伸郎)や堀江(北竜二)と時折呑む酒の味は文字どおりに天の美禄だった。その席でも二十四になる路子を嫁にやれと急がされるが、平山としてはまだ手放す気になれなかった。中学時代のヒョータンこと佐久間老先生(東野英治郎)を迎えてのクラス会の席上、話は老先生の娘伴子(杉村春子)のことに移っていったが、昔は可愛かったその人が早く母親を亡くしたために今以って独身で、先生の面倒を見ながら場末の中華ソバ屋をやっているという。平山はその店に行ってみたがまさか路子が伴子のようになろうとは思えなかったし、それよりも偶然連れていかれた酒場“かおる”のマダム(岸田今日子)が亡妻に似ていたことの方が心をひかれるのだった。馴染の小料理屋へ老先生を誘って呑んだ夜、先生の述懐を聞かされて帰った平山は路子に結婚の話を切り出した。路子は父が真剣だとわかると、妙に腹が立ってきた。今日まで放っといて急に言いだすなんて勝手すぎる--。しかし和夫の話だと路子は幸一の後輩の三浦(吉田輝雄)を好きらしい。平山の相談を受けた幸一がそれとなく探ってみると、三浦はつい先頃婚約したばかりだという。口では強がりを言っていても、路子の心がどんなにみじめなものかは平山にも幸一にもよくわかった。秋も深まった日、路子は河合の細君(三宅邦子)がすすめる相手のところへ静かに嫁いでいった。やっとの思いで重荷をおろしはしたものの平山の心は何か寂しかった。酒も口に苦く路子のいない家はどこかにポッカリ穴があいたように虚しかった。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
岩下志麻
笠智衆
佐田啓二
岡田茉莉子
吉田輝雄
三上真一郎
杉村春子
加東大介
- スタッフ -
監督:小津安二郎
脚本:野田高梧
脚本:小津安二郎
撮影:厚田雄春
音楽:斎藤高順

配給:松竹
©1962松竹株式会社

ジャンル:現代劇