映画・アニメの世界

【作品データベース】五瓣の椿 ごべんのつばき

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・162分
山本周五郎の同名小説を、井手雅人が脚色して、野村芳太郎監督が映画化した時代劇。天保5年晩秋、悪名高い男の怪死事件が相次いだ。簪で一突きする手口は同一で、現場にはなぜか一輪の椿が残されていた。働き者の父を顧みなかった母と周囲の男たちを恨み、復讐に燃える女を岩下志麻が熱演した文芸大作。

STORY
天保五年正月十二日の夜半、本所亀戸天神のむさし屋喜兵衛の寮が燃え、焼け跡から三人の死体が出た。それは結核におかされた当主喜兵衛(加藤嘉)と、妻おその(左幸子)、娘おしの(岩下志麻)と認められた。それから数カ月たった晩秋のこと、常盤津の三味線弾きで人気絶頂の岸沢蝶太夫(田村高廣)は、身元不明の素人娘おりうに血道をあげていた。だが世なれた蝶太夫に身元も名のらず、年増も及ばぬ色気と手管で、扱う様は、何か異様な感をもたせた。ある日、蝶太夫は、料亭でおりうを抱いたが、おりうは、むさし屋の内儀おそのと蝶太夫との間にスキャンダルがあったことを確認すると、男を残して去った。翌朝蝶太夫は、平打の銀かんざしで一突きにされ枕許に一片の椿が残されていた。この殺人事件は江戸中に波紋を投げかけた。京橋水谷町に看板をあげる本道婦人科・海野得石(伊藤雄之助)は、禁忌とされている淫靡な治療法を患者に施し、不当な薬礼を得ていた。得石が、おみのに魅かれたのは半年程前からであった。得石は昔むさし屋のおそのに特殊な治療をしてから、ずるずると関係し、おそのに取り入っては資金を引き出し開業したのだった。この事実が得石を第二の殺人事件に追いこんだ。兇器も椿の花も前の時と同じであった。町役人は、下手人を十七、八歳の謎の美女と目していた。八丁堀の若い与力青木千之助(加藤剛)は、料亭かね本の女中の注進でお倫に会った。このお倫が、おみのでありおりうであれば殺人犯はあがるのだ。しかしお倫は優雅な娘で、そのうえ婚約者の清一(小沢昭一)という男が名のり出た。だが顔見知りの女中が「岸沢のお師匠さんといらっしゃったおりうさん」と呼んだ時、青木の目は光った。お倫も突然の呼び声に戦慄を覚えた。それは初めて蝶太夫を殺した時のそれであった・・・。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
岩下志麻
加藤剛
早川保
左幸子
西村晃
- スタッフ -
原作:山本周五郎
監督:野村芳太郎
脚本:井手雅人
撮影:川又昂
音楽:芥川也寸志

配給:松竹
©1964松竹株式会社

ジャンル:現代劇