映画・アニメの世界

【作品データベース】本能 ほんのう

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・103分
『悪党』で脚本・監督の新藤兼人が今回も脚本・監督した人間ドラマ。

STORY
四季の変わり目ごとに蓼科高原にある山小屋にやってくる一人の男がいた。40歳くらいで、人びとからは先生(観世栄夫)と呼ばれていた。一人住まいの先生のところへ、下の部落から食事の世話をするため、戦争未亡人で大学生の息子をもつおばさん(乙羽信子)が出入りしていた。雪どけが始まった春のある日、先生はおばさんに告白した。先生は広島の連隊にいた時、被爆し、性的機能を喪失した。しかし三ヶ月目に恢復した時の感動は、彼に人間の素晴しさを教えた。復員後結婚したが、ビキニの第五福竜丸事件の衝撃で再び不能となり、離婚したのであった。先生は高原に発散される若い男女の青春のいぶきを羨望の眼で見ていた。先生の心は凍った湖の氷面のように全く閉ざされていた。やがて高原は緑が萌える夏となった。何とか性を恢復しようと思う先生にとって、若い男女の営みはますます、先生を圧倒するのだった。ある日先生はおばさんから、村に夜ばいのあることを聞かされた。その夜先生は先生の不能を何とかなおしてやろうと思うおばさんに誘われて、夜ばい見物をした。それ以来、先生はおばさんの家へ夜ばいに通い始めおばさんを抱くのだった。めずらしく先生の顔は血色がよく生き生きしてきた。先生は夜ごと「八兵衛またきたのか」といっては先生を抱くおばさんに、激しい嫉妬の焔を燃やした。それは先生に恢復してもらいたい一心のおばさんの芝居だった・・・。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
乙羽信子
観世栄夫
東野英治郎
島かおり
殿山泰司
宇野重吉
- スタッフ -
監督:新藤兼人
脚本:新藤兼人
撮影:黒田清巳
音楽:林光

配給:松竹

ジャンル:現代劇