映画・アニメの世界

【作品データベース】影の車 かげのくるま

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・97分
妻のいる真面目なサラリーマンが、ある日同郷の女性と偶然再会する。夫に死なれ、一人息子と暮らしているという美貌の女性に男は魅かれ、やがて男女関係へと発展する。だが男は、彼女の6歳になる息子が自分に殺意を抱くという妄想に取り憑かれてしまう…。松本清張の短編小説「潜在光景」を野村芳太郎監督が映画化。旅行代理店勤務のサラリーマンにいかにも真面目な風貌の加藤剛、美貌の未亡人に岩下志麻という顔合わせで、道ならぬ愛に落ちる男女の姿を、ハードなラブシーンをも交えてリアルに描いている。

STORY
浜島幸雄(加藤剛)はある日、幼馴じみの小磯泰子(岩下志麻)の呼びかけに振り向いた。この偶然こそ、平凡な男の生涯を根底からゆさぶる運命の声であった。浜島は旅行案内所に勤続12年の係長で妻の啓子(小川真由美)は社交好きで陽気である。毎日が会社と団地の往復、生活も仕事も単調で味気ない浜島は、泰子に会って同じバスに乗っただけで軽い興奮があった。二度目に泰子に会った時、薦められるままに泰子の家を訪ねた。四年前に夫に死なれた泰子は六歳の健一(岡本久人)と二人暮し。保険の集金と勧誘でつつましい生活だ。健一は父親がないためか、孤独癖のある無口な子供だった。夢多き思春期の共通の追憶に話がはずみ、浜島の泰子への傾斜は急ピッチであった。やがて、狭い泰子の家では、健一の眼が浜島には苦手な存在になった。だが、自然の成り行きで二人は結ばれた。初夜のように白無垢の長襦袢で浜島を迎えた泰子がいじらしかった。浜島は健一を手なづけようと、心をくだいたが、その都度失敗した。浜島にも幼い日に夫を失った母と伯父との間に立たされた忘れ得ぬ記憶があったから健一の反感が必要以上に応えた。そして、健一が自分を殺そうとしている突飛な幻想に悩まされはじめた。一度は妻と別れて泰子と結婚しようと決心しながら、健一のことを考えるとまた泰子を諦らめようかと思い迷った。孤独を癒やされた泰子は啓子への後ろめたさも、浜島を見る健一の白い目にも心を向けず、ひたすら愛欲の歓びに溺れた。紅葉のころ、浜島苦心のドライブ旅行も小さな健一の本能的な男性にはね返されてしまった。浜島は再び幻影の虜になった・・・。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
岩下志麻
加藤剛
小川真由美
滝田裕介
岩崎加根子
芦田伸介
- スタッフ -
原作:松本清張
監督:野村芳太郎
脚本:橋本忍
撮影:川又昂
音楽:芥川也寸志

配給:松竹
©1970松竹株式会社

ジャンル:現代劇