映画・アニメの世界

【作品データベース】故郷 こきょう

作品情報

INTRODUCTION
フィルム巻数・7巻
瀬戸内海の美しい小島で、石の運搬などでささやかな暮しをつづけてきた一家が、高度経済成長の波に追われ、父祖の地に哀惜の思いを残しながら、新天地を求めて移往するまでの揺れ動く心を追う人間ドラマ。舞台となった広島県倉橋島(現呉市)に長期滞在し、1970年の映画『家族』同様ドキュメンタリーの手法も交えて撮影されている。

STORY
瀬戸内海・倉橋島。精一(井川比佐志)、民子(倍賞千恵子)の夫婦は石船と呼ばれている小さな船で石を運び生活してきた。民子もなれない勉強の末に船の機関士の資格をとった。決して豊かではないが、光子、剛の二人の子供、そして精一の父・仙造(笠智衆)と平和な家庭を保っている精一に最近悩みができた。持船のエンジンの調子が良くないのである。精一はどうしても新しい船を手に入れたかった。そこで世話役に金策の相談を持ちかけたが、彼は困窮した様子を見せるだけだった。各部落を小型トラックで回り、陽気に野菜を売り歩いている松下(渥美清)は精一の友人で、精一の悩みを知って慰めるのだが、それ以上、松下には何の手助けもできない。精一は大工にエンジンを替えるにしても、老朽化して無駄だと言われるが、それでも、夫婦で海に出た。その日は、海が荒れ、ボロ船の航海は危険をきわめ、夫婦の帰りを待つ家族や、松下は心配で気が気ではなかった。数日後、万策尽きた精一夫婦は、弟健次(前田吟)の言葉に従い、尾道にある造船所を見学し、気が進まぬままに石船を捨てる決心をするのだった。最後の航海の日、夫婦は、息子の剛を連れて船に乗った。朝日を浴びた海が、かつて見たこともない程美しい。精一は思い出した。民子が機関士試験に合格した日のこと、新婚早々の弟健次夫婦と一家をあげて船で宮島の管弦祭に向った日のこと。楽しかった鳥での生活が精一のまぶたをよぎった。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
井川比佐志
渥美清
倍賞千恵子
前田吟
田島令子
笠智衆
- スタッフ -
原作:山田洋次
監督:山田洋次
脚本:山田洋次
脚本:宮崎晃
撮影:高羽哲夫
音楽:佐藤勝

配給:松竹
©1972松竹株式会社

ジャンル:現代劇