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【作品データベース】喜劇・大誘拐 きげき・だいゆうかい

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・90分
5人のしがないサラリーマンが計画した誘拐事件が巻き起こす騒動を描いた喜劇。脚本は瀬川昌治と、永井素夫による共同執筆、監督は脚本も執筆している前田陽一、撮影を吉川憲一がそれぞれ担当している。

STORY
東京から遠くはなれた山間の粗末な団地に住む赤木勝彦(森田健作)は、毎朝5時に飛び起き、列車に駆け込む。彼の夢は、恋人の山川礼子(夏純子)と結婚し、分譲住宅を手に入れることだった。すでに二人で働いた三百万円を不動産会社に払っている。さて、飛び乗った列車のボックスには、いつものように学生風の男・内野(小倉一郎)、老紳士・中谷(三木のり平)が掛けており、やがてカメラマンの蒲生(岸部四郎)が飛び込んで来た。四人は毎朝、この列車で東京へ通ううちに知り合った通勤仲間なのである。実はこの連中、それぞれ悩みを持っている。赤木の場合は三百万円払い込んだ不動産会社が倒産してしまい、中谷の場合は妻(津島恵子)が病気の上、会社から自宅待機を言い渡されていた。内野は私立大学の5年生で、十数社の就職試験に失敗、その上、惚れていた女・みゆき(石原亜希子)が、銀座のキャバレーに勤め出してからは鼻もひっかけてくれない。蒲生はテレビ局の下請けプロのカメラマンだが仕事はあまりもらえない。そんなある日、礼子の勤める「たそがれ酒場」に四人が集まって“たいやきくん”論議をしていると、テレビのCMに所得日本一の北上大作(小池朝雄)が登場した。そこで社会的不公平の最たる北上大作を誘拐して身代金をいただこうと「たいやきくん同盟」を結成した。数日後、蒲生のプロに思いもかけず大作から選挙用PR映画の発注がきたのだった。そして大作の園遊会に招待された一行は、そこでみゆきに会った。尊大にかまえる大作の傍で選挙参謀の川島(立川談志)がつきっきりで世話をやいていた。翌日、一行は大作の孫を、祖母のマツ(ミヤコ蝶々)と忍者遊びをしている最中に誘拐したものの、途中で怖くなってタクシーで送り返した。ところが、車のトランクの中に忍者遊びで穏れていたマツが、息も絶え絶えに現われた。マツは一部始終を聞くと、みんなの応援をするとばかり、自ら五億円の身代金を大作に請求した。選挙参謀の川島は、この誘拐を逆に宣伝し、母のために身代金を払う大作のイメージ・アップを企った。しかも、みゆきが大作の息子に犯人は赤木たちに違いない、と密告していた。身代金を渡す日がやって来た。大作は五億円の札束をダンボール箱につめ車からつき落とす。それを拾った赤木たちは冷凍車に乗って無事団地へ帰ったが、五億円は氷の塊りになっていた。そこへ、四人組の男が現われ、金を奪い取られてしまった。無事に帰ったマツは、身代金が大作に奪い返された事を知り、その金が、明日、選挙地盤の買収のためホテルで渡す計画を赤木たちに知らせた。当日、赤木たちはボーイに化け、その金をふたたび奪い返したものの、追われたため咄嗟にゴミ車の中に投げ込んだのだが、その車を見失ってしまった……。数日後、五億円は風に吹かれて、東京湾に飛び散っていた。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
森田健作
三木のり平
夏純子
小倉一郎
- スタッフ -
原案:吉田進
監督:前田陽一
脚本:瀬川昌治
脚本:永井素夫
脚本:前田陽一
撮影:吉川憲一
音楽:いずみたく

配給:松竹
Ⓒ1976松竹株式会社

ジャンル:現代劇