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【作品データベース】日蓮 にちれん

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・143分
古代王朝から新興武士へと政権が移りつつあった承久4年(1222年)に生まれた日蓮の、言語を絶する迫害をはねのけての布教活動の生涯を描く。原作は川口松太郎、脚本監督は、「遺書 白い少女」の中村登、撮影は「俺は田舎のプレスリー」の竹村博がそれぞれ担当している。

STORY
日蓮(萬屋錦之助)は承久四年、安房小湊に生まれた。幼名は善日丸(伊藤洋一)、父貫名重忠(田村高廣)は遠州の領主だったが領地争いに敗れ、妻梅菊(岸田今日子)と共に安房に流された。流民の子と迫害される善日丸をやさしくいたわる地主の娘浜夕(松坂慶子)も鎌倉武士に嫁ぐため小湊を去る。孤独な善日丸は天台の名刹清澄寺に入り修業すること四年、剃髪して是聖坊蓮長と名乗り、その後、鎌倉寿福寺で禅の修業をする。しかし、禅や念仏では民衆の窮状を救えないとの疑問を抱いた蓮長は比叡山へ向かう。比叡山での厳しい修業、奈良、京都の寺々を廻り、求道十年、ついに蓮長は法華経こそ釈迦の説いた本当の教え、最高至上の仏教との確信を得て、その布教に生涯を捧げる決心をし、故郷の安房へ帰った。ある早朝、清澄山の山頂に立った蓮長は、自ら日蓮と名を改め、東海から昇り始めた太陽に向かって「われ日本の柱とならん、眼目とならん、大船とならん」と叫んだ。鎌倉に戻った日蓮は「極楽浄土は、この世にある。法華経を信ぜよ」と辻説法を説いていると、奇しくも幼馴染の浜夕と再会する。日蓮の努力は徐々に実を結び、浜夕と夫の工藤義隆(江原真二郎)の入信、また日昭(中村嘉葎雄)、日朗(中村光輝)、比企熊本(観世栄夫)、四条金吾(伊吹吾郎)等の弟子も出来、信者も増えはじめた。その頃、鎌倉では飢饉、疫病、地震等の災害が相次いで起り、民衆の窮乏はその極に達し、この惨状を憂う日蓮は「立正安国論」を書いて北條時頼(二代目松本白鸚)に提出し、政治を正して民衆を救えと要求するが、逆に時頼に伊豆に流されてしまう。二年後、赦面された日蓮の布教活動は増々活発となり、その行動を危険視した平頼綱(中谷一郎)は日蓮を斬首しようと謀るが、謀略を知った執権北條時宗(松方弘樹)は赦免使を立てて日蓮を救おうとする。断罪直前、大竜巻が起り幕府方は人馬もろとも宙に舞い日蓮は奇跡的に難を逃れたが、佐渡に流されてしまう。しかし、佐渡での言語を絶する寒さと飢えの中を、阿仏房夫妻の情で生きぬいた日蓮は、そこで「開目鈔」「観心本尊抄」等の代表作を完成する。やがて「立正安国論」で驚告した日蓮の予言が的中し、蒙古軍が日本に迫って来た。北條時宗は日蓮を赦免し、敵国降伏の祈祷の協力を要請するが、日蓮は幕府が法華経を主経と認めることを条件として、禅の信者の時宗と対立する。絶望して身延山に入った日蓮に、さらに、弟子、信者が拷問虚殺されるという悲報がもたらされる。弘安四年、闘いと迫害の生涯を生き続けた日蓮もすでに六十歳、ついに花の咲く日を見ることが出来ぬと悟り、如何なる困難に遭遇しようとも法灯を守りつづけてくれるように弟子たちに切々と頼む。翌弘安五年秋、風雲児日蓮はその多難な生涯を閉じた。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
萬屋錦之介
中村嘉葎雄
田村高廣
岸田今日子
- スタッフ -
原作:川口松太郎
監督:中村登
脚本:中村登
撮影:竹村博
音楽:芥川也寸志

配給:松竹

ジャンル:時代劇