映画・アニメの世界

【作品データベース】震える舌 ふるえるした

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・114分
原作は、三木卓が1975年に発表した小説。破傷風に侵された少女と、それを看病する両親の闘病記を、ホラー映画のように纏め上げた異色作。監督は、『砂の器』や『八つ墓村』などで社会派、恐怖を描くことで定評の野村芳太郎。奇病に取り組み、血も凍る恐怖を熱演した当時5才の子役の圧倒的な演技が見所。

STORY
千葉郊外の団地に三好昭(渡瀬恒彦)と妻の邦江(十朱幸代)、娘の昌子(若命真裕子)の三人家族は住んでいた。その付近には、まだ葦の繁みがあり、昌子は湿地の泥の中を、蝶を追って虫取り網をふりまわしていたが、すんでのところで珍しい蝶を取り逃がしてしまった。その晩昌子は、蝶がぐんぐん自分に迫り、目の中に飛び込んで来る夢を見た。「こわいよ」と叫ぶ昌子。かけつけてきた昭は、ぞっとする何かを感じ、身震いするのだった。数日後、母の邦江は昌子の小さな異常に気づいた。食事中、昌子は食物をポロポロこぼし、トイレに立った後姿は鵞鳥のような歩き方をしている。風邪かなと邦江は心配した。しかし、その直後、昌子は絶叫をあげて倒れた。白い歯の間に小さな赤い舌がはさまってもがいていた。救急車で病院へ運ばれる途中も、昌子の発作は続いた。舌を噛まないように差し込んだ昭の指はくい破られ、血が吹きだしていた。大学病院で、昌子は医師団に裸にされ、何時間も調べられた。「テタナスだ!」と叫ぶ医師たち。テタナスとは、幾億年も昔、まだ人類などいない頃、地球に存在した微生物だ。ほんの僅かな傷口から人間の体内に侵入し、二○グラムで日本を絶滅させるという。昌子は暗い病室の中でビニールの酸素テントをかぶされ、ベッドの枠に手足を縛りつけられている。昭、邦江、能勢の不眠の数日が続く。もうろうとする昭の頭に感染したのではという恐怖が生まれた。邦江も妄想に取りつかれた。今、三人の親娘は完全にテタナスのとりことなっていた。平和な家庭は、一転して、底知れぬ地獄の中に投げこまれてしまったのだ。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
渡瀬恒彦
十朱幸代
若命真裕子
中野良子
- スタッフ -
原作:三木卓
監督:野村芳太郎
脚本:井手雅人
撮影:川又昂
音楽:芥川也寸志
音楽:小熊達弥

配給:松竹
©1980松竹株式会社

ジャンル:現代劇